この記事を書いた人
栄養カウンセラー ちあき
小児外科専門医 小森広嗣 監修
「早くしなさい」が届かない。同じことで何度も怒ってしまう。子育ての本を読んでも、テクニックを試しても、なぜか長続きしない——。そんなとき、私の支えになってきたのが『7つの習慣』でした。
先にお伝えすると、『7つの習慣』を子育てに活かすいちばんの入口は、子どもを変える方法ではなく、親の「物の見方(パラダイム)」に気づくことなんです。 見方が変わると、同じ出来事への反応が変わり、言葉が変わり、やがて子どもの反応も変わっていきます。
この記事でわかること
- 『7つの習慣』を子育てに活かすときの、3つの考え方
- わが家で実際に変わったこと(失敗談つき)
- 習慣ごとに、子育てで使えるヒント(くわしい記事へ)
『7つの習慣』って、どんな本?
『7つの習慣』は、スティーブン・R・コヴィー博士が、長く信頼される人たちに共通する考え方と習慣をまとめた本です。仕事の本と思われがちですが、中心にあるのは人との信頼関係。だからこそ、いちばん身近な人間関係である「家族」「子育て」にそのまま使えるんです。
私が学び始めたきっかけは、夫でした。夫が先に『7つの習慣』を学び、まず自分から変わっていく姿を見て、「私も学んでみたい」と思ったんです。夫と一緒に講座に取り組んだときは、自分の心のうちと向き合うので、正直、心にぐさっとくることもありました。でも、学びは確かでした。いまは『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーターとして、読書会などでお伝えしています。
『7つの習慣』は、家族という人間関係の本でもある。
子育てに活かす、3つの考え方
| 考え方 | ひとことで | 子育てでは |
| パラダイム | 物の見方・とらえ方 | 「わがまま」に見える行動の奥に、疲れや不安があるかもしれない |
| インサイド・アウト | 変化は、自分の内側から | 子どもを変える前に、自分の声かけや在り方を見直す |
| P と PC のバランス | 成果と、成果を生み出す力 | 目の前の結果より、親子の信頼と子どもの心身の土台を育てる |
① パラダイム ── 見方が変わると、反応が変わる
人は、それぞれの「見方(パラダイム)」というレンズを通して物事を見ています。同じ出来事でも、レンズがちがうと、まったくちがって見えるんですよね。
たとえば、外で走り回る子どもを注意しないお母さんを見て、「ちゃんと叱ればいいのに」と思ったとします。でも、そのお母さんの事情を知ったら、見え方はがらりと変わるかもしれません。心がざわっとしたときこそ、「相手には、どんな事情があるんだろう?」と考えてみる。それだけで、ざわつきが少しずつ落ち着いていきます。
心がざわついたら、相手のレンズを想像してみる。
② インサイド・アウト ── 自分から変わる
インサイド・アウトは、「相手が悪い」と外に原因を探すのではなく、「この状況で、私にできることは何だろう?」と、自分の内側から変えていく考え方です。
わが家の朝の話です。パジャマのままテレビを見ている子に、「早く着替えて!」と何度も声をかけました。全然動かない。ついにイライラして強く言ってしまったとき、子どもは黙ってしまったんです。
その日の私は疲れていて、目を合わせて話す余裕もなく、「早くして」の連呼でした。そこで次の日から、朝の声かけを変えてみました。「おはよう。今日もニコニコで起きられたね」「あと5分したら着替えようね」と、目を見て穏やかに。毎日スムーズにはいかなくても、言葉が「届く」実感が、確かに増えていきました。
靴下の脱ぎっぱなしも同じです。「また片付けない!」と責める代わりに、「靴下がそのままだと、ママはちょっと大変なんだ。片付けてくれると助かるな」と、気持ちをそのまま伝えてお願いする。責めるより、協力をお願いするほうが、子どもは「家族の役に立てた」とうれしそうに動いてくれるんです。
子どもを変える前に、まず自分の声かけをひとつ変える。
③ P と PC のバランス ── 金の卵より、ガチョウを大切に
『7つの習慣』には、イソップ童話の「金の卵を産むガチョウ」のお話が出てきます。金の卵が欲しくてガチョウのお腹を開けてしまったら、卵もガチョウも失ってしまう。
子育てでいえば、金の卵(P)=目の前の成果(いい成績・早くできること)、ガチョウ(PC)=成果を生み出す力(親子の信頼・子どもの心と体の土台)です。結果を急ぐあまり、ガチョウを傷つけていないか。ときどき立ち止まって見直したいところなんです。
うちの子が学校に行きしぶった時期がありました。そのとき夫婦で話し合って気づいたのは、私たちが忙しく、子どもと過ごす時間が少なくなっていたこと。仕事の時間を見直して、一緒に過ごす時間を意識して増やしたら、子どもは少しずつ元気を取り戻していきました。
成果を急ぐより、信頼と体の土台を育てる。
医師の視点|小児外科専門医 小森広嗣
電車の中で、わが子が大声で泣き出したことがあります。「周りに迷惑だ、どうしよう」と焦った日は、子どもも周りもどんどん不機嫌になりました。別の日、「慣れない電車だもの、泣くのは当然。何をしようか」と思えた日は、絵本やしりとりで、楽しい時間に変わりました。起きたことは同じでも、見方(パラダイム)で、親の行動も子どもの様子も変わる。どちらの日も、私自身の体験です。
子育ては、きれいには進みません。雪を担いで井戸を埋めるように(担雪埋井)、何度教えても溶けてしまうように感じる日もあります。それでも続けた先に、実りがあります。優しさだけでも、厳しさだけでも人は育たない。アンパンマンのように、見捨てない愛と、ときに厳しくする勇気の両方を、試行錯誤しながら身につけていくものだと思っています。コヴィー博士は『第8の習慣』で、親であることが最高の幸福と喜びを与えてくれる、と書いています。うまくいかない日も、その道の途中です。
習慣ごとに、子育てで使えるヒント
| 習慣 | 子育てでは | くわしい記事 |
| 第1の習慣(主体的である) | 怒る前に、刺激と反応のあいだに「間」を置く | 怒りをコントロールする「スペースを置く」・子どもにイライラして怒ってしまう… |
| 第2の習慣(終わりを思い描くことから始める) | どんな家族でいたいかを、先に描く | 失敗を先に想定する「逆算の戦略」・家族のミッションの作り方 |
| 第3の習慣(最優先事項を優先する) | 緊急じゃないけど大切な時間を守る | 第3の習慣に学ぶ、大切な時間の守り方 |
| 信頼口座 | 日々の小さな約束と声かけで、信頼を貯める | 家族の「信頼口座」の育て方。「なんで分かってくれないの?」が減っていく、『7つの習慣』の6つの預け入れ |
| 第5の習慣(まず理解に徹する) | 本音を引き出す聞き方 | 子どもの本音を引き出す、たった1つの原則 |
| 相互依存・第6の習慣(シナジー) | 親子・夫婦で「チーム」になる | 親子が“チーム”になる「相互依存」・「シナジー」の作り方 |
全部を一度にやらなくていい。気になる習慣を、ひとつだけ。
ここまでできていれば、大丈夫です
- 心がざわついたとき、「相手には事情があるかも」と一度考えられた
- 子どもを変える前に、自分の声かけをひとつ変えてみた
- 目の前の結果より、信頼と体の土台を大切にしたいと思えた
- 気になる習慣の記事を、ひとつ読んでみた
よくある質問
『7つの習慣』は難しい?子育て中でも読める?
正直、読み通すのは少し大変な本です。だから、全部を理解しようとしなくて大丈夫。まずは「パラダイム」と「インサイド・アウト」の2つだけを、毎日の子育ての場面で試してみてください。読書会など、誰かと一緒に読むと続けやすくなります。
子ども向けの『7つの習慣』もある?
子ども向けの本や、学校の授業で取り入れられている例もあります。ただ、家庭でいちばん効くのは、親が実践している姿を見せること。子どもは、親の言葉より、親の在り方をよく見ているんですよね。
実践しても、うまくいかない日は?
うまくいかない日のほうが多いくらいです。わが家もそうです。『7つの習慣』は、完璧にできることより、ずれたことに気づいて、また戻ってくることを大切にしています。気づけた日は、それだけで一歩前進なんです。
今日からできるワンアクション
今日は、ひとつだけ。
明日の朝、子どもに声をかける前に、ひと呼吸おいて、目を合わせてから話してみませんか。 言葉は同じでも、届き方が変わるはずです。
子育ては、親自身も育っていく旅。完璧じゃなくて大丈夫。ちりつもで、一緒にやっていきましょうね。
合わせて読みたい
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- 子どもの褒め方、どうすればいい?「すごい」「偉い」より過程を認める言葉と、竹のように折れない心の育て方
LifeCrescendo が目指しているのは、困りごとが消えることだけではありません。栄養で体と心の土台を整え、その先で、子どもとご家族が「楽しく生き続ける」ところまで、一緒に歩むこと。いまの困りごとから、1つ、2つずつで大丈夫です。(私たちが大切にしていること)
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※ ここでお渡しするのは、家庭での教育と実践のサポートです。診断や治療は、医療機関の役割です。
この記事をお届けした人

ちあき
心と体の栄養カウンセラー | ライフクレッシェンド株式会社 代表
── ライフコーディネーターとして、ご家族の食卓と、毎日の選択の隣にいます
特別支援学校の教員でした。教えていたのは、音楽です。言葉にならない声を、聞き取る仕事でした。その聞き取り方を、いちばん近いところで試されたのが、わが子の子育てです。わが子の発達に悩み、「私の愛し方が足りないのだろうか」と自分を責めた日々もありました。転機は、体の土台を整える「栄養」でした。
メロディーは、その人のもの。私が変えるのは、リズムのほう。
小児外科専門医のクリニックで、子どもと家族の栄養カウンセリングを重ねてきました。いまも毎日、現場にいます。2019年の秋からは、地域の親子ひろばなどで、ベビーマッサージ・タッチケアの教室も開いています。
弘前大学 教育学部 障害児教育課程卒。特別支援学校教諭一種免許(知的障害・肢体不自由・病弱)、中学校・高校 音楽教諭一種免許。オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)認定。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。
▼ 日々の気づきは、Xで
ちあき|こどもの栄養カウンセラー×3児の母🌱 @LifeCrescendoC
