子どもの栄養療法 ── 体の土台を、腸から整える

小さな苗に両側から手を添え、土の下に広がる根を描いた水彩画。見えない土台を育てることの象徴

困りごとが、なかなか抜けないご家庭へ。お子様が困っているサインは、体に出ていることがあります。

その困りごと、栄養で変わるかもしれません

集中力が続かない。朝起きられない。すぐにイライラする。落ち着きがない。

こうしたことは、「しつけ」や「性格」の話にされがちです。

けれど診療の現場で見てきたかぎり、その背景に鉄やタンパク質、ビタミンB群の不足が重なっていることは、めずらしくありません。

心の問題か、体の問題か——どちらか一方ではありません。体の土台が整っていないと、心の力も出しにくくなる。まず整えられるのは、土台のほうです。

小児外科専門医が腸と向き合い続ける中で確信した、栄養の力。その知見を、私たちは一人でも多くのご家族にお届けしたいと考えています。このページでは、私たちが臨床の現場で積み重ねてきた栄養療法の考え方をお伝えします。

なぜ、私たちはこの活動をしているのか

はじまりは、診察室です。小児外科専門医として、薬だけでは解決しない不調に、栄養の視点から向き合ってきました。けれど、診察の時間は数分です。「なぜ腸から始めるのか」「ご家庭でどう実践すればいいのか」——本当に大事な話ほど、診察の数分には入りません。

LifeCrescendoは、その「伝えきれなかった部分」を、医学と生活の両方から届けるために生まれた、栄養療法の学びの場です。医学と原則を小森広嗣が、生活と共感を栄養カウンセラーのちあきが受け持ちます。医学的な判断が必要なときは、医療機関で。学びと実践は、ここで。

この場所ができた経緯は、診察の数分に、入らないことに書いています。

腸から始める。それが、私たちの栄養療法です

世の中にはさまざまな栄養療法がありますが、私たちのアプローチには明確な特徴があります。

「お腹(腸)」から始めるということです。

腸の構造と機能の両方を見てきた小児外科専門医だからこそ、確信しています。サプリメントをどれだけ丁寧に選んでも、腸が受け取れる状態でなければ、栄養は素通りしていきます。

畑に例えるなら、まず土を耕す。肥料を撒くのはその後です。

この「土作り」を最初に行うことが、私たちの栄養療法の出発点です。

「5つの土台」── 順番を守るから、効果が出る

私たちは、臨床の現場で試行錯誤を重ねる中で、お子様の体を「5つの土台」で捉え、下から順番に整えるアプローチに辿り着きました。

⑤ 成長(材料) 

④ 守り(免疫) 

③ 安定(血糖) 

② 元気(エネルギー)

 ① お腹 ← ここから始める

上に行くほど高度な機能ですが、下の土台が整っていなければ、上は機能しません。だから、必ず①から順番に。この順番を守ることが、効果を出す最大のポイントです。

① お腹(消化)── すべての入口

どんなに良い栄養素も、腸が整っていなければ吸収されません。

小腸の表面積はテニスコート1面分とも言われ、そこで栄養素の吸収が行われています。しかし、便秘や腸内環境の乱れがあると、この吸収機能が十分に働きません。せっかくサプリメントを飲んでも、お腹を素通りしてしまうことがあるのです。

畑の土づくりと同じです。まず土を耕し、水はけを整えてから種を蒔く。肥料はその後。腸を見続けてきた小児外科専門医が、ここを最初に行う理由です。

実際には、乳酸菌で腸内環境を整える、グルテン(小麦)やカゼイン(乳製品)の摂取を見直す、便の状態を観察して腸の状態を知るといったステップから始めます。

ちあきから:まずは、うんちを見るところから始めてもらっています。うんちは、いちばん正直な手紙です。

② 元気(エネルギー)── 体を動かすガソリン

食べたものは、そのままでは力になりません。エネルギーに変える工程が、体の中にあります。

細胞の中にあるミトコンドリアが、食べたものをエネルギー(ATP)に変換しています。この工場が回るためには、鉄、ビタミンB1・B2・B6・B12、ナイアシンなどが欠かせません。これらが足りないと、食べているのにエネルギーが作れない。スマホの充電が切れていたら動かないのと同じです。

お子様が「朝だるい」「すぐ疲れる」「やる気が出ない」のは、怠けているのではなく、エネルギー産生の仕組みに必要な材料が足りていない可能性があります。

ちあきからいま作っているものに、何を足すか。そこから始めれば十分です。今日の献立を作り替える必要はありません。

③ 安定(血糖)── 心と体のバランス

ジュースやお菓子で血糖値が急上昇すると、体はインスリンを大量に出して血糖を下げようとします。その結果、今度は血糖値が急降下する。この「血糖値のジェットコースター」が、イライラ、眠気、集中力の低下を引き起こします。

朝ごはんに菓子パンやジュースを摂ると、登校する頃には血糖が急降下。授業中にぼーっとしたり、感情が不安定になったり。お子様が朝起きられないのも、夜間の低血糖が関係していることがあります。

対策の基本は、糖質を控えめにし、タンパク質と良質な脂質を中心にした食事です。これだけで「朝起きられるようになった」というお子様は少なくありません。

ちあきから:私自身、糖質を控えてたんぱく質を摂るようにしたら、怒る回数が減りました。性格だと思っていたことが、そうではなかったんです。

④ 守り(免疫)── 体を守る力

風邪をひきやすい、アレルギーが出やすい。そのお子様の体の中では、慢性的な「小さな炎症」が続いている可能性があります。

炎症には「起こす油(オメガ6系脂肪酸)」と「消す油(オメガ3系脂肪酸)」があり、現代の食生活ではこのバランスが大きく崩れています。

サラダ油やマーガリンに多く含まれるオメガ6が過剰になり、魚に含まれるオメガ3が不足している。このアンバランスが、免疫の過剰反応(アレルギー)や慢性炎症の一因になっています。

さらに、ビタミンDは免疫調整に深く関わっています。風邪をひきやすいお子様は、ビタミンDの充足度を確認することが、改善の糸口になることがあります。

ちあきから:ビタミンDは、日光を浴びることでも皮膚で作られます。外遊びが減り、日焼け止めを徹底し、光はガラス越し——いまの暮らしでは、足りなくなって当たり前なんです。ご心配なことがあれば、一人で抱え込まず、いつでもご相談ください。

⑤ 成長(鉄・発達)── 体をつくる材料

成長期のお子様は、大人の何倍もの材料(タンパク質・良質な脂質・鉄)を必要としています。特に鉄は、脳の発達、集中力、情緒の安定に直結する栄養素です。

しかし、鉄を最後に入れるのには明確な理由があります。腸の状態が悪いまま鉄を入れると、悪玉菌のエサになってしまう。エネルギー産生の仕組みが整っていないと、鉄がうまく使われない。つまり、①お腹 → ②元気 → ③安定 → ④守りの土台が整って初めて、鉄は本来の力を発揮できるのです。

日本の子どもたちの多くは、鉄が足りていないと言われています。見た目や普段の様子では気づきにくいのが、この不足の特徴です。気になるときは、かかりつけの医療機関にご相談ください。

ちあきからうちの子が穏やかになったのは、愛情が増えたからではありませんでした。鉄が増えたからでした。私も、最初は信じられませんでした。

この順番を守ることが、最大のポイントです

「なぜ腸から始めるのか」「なぜ鉄は最後なのか」。お読みいただいた通り、一つひとつの土台には科学的な根拠があり、順番にも意味があります。

この理解があれば、日々の実践に迷いがなくなります。「今やっていることに意味がある」とわかることが、長期戦である栄養療法を続ける最大の力になります。

各土台の具体的な食事法、サプリメントの飲ませ方、年齢に応じた工夫は、LINE登録者向けの実践ガイドで詳しく解説しています。

整えることが、目的ではありません

体が整い、心に余裕が生まれると、その子は自分のほうへ動き出します。
まわりに合わせるためではなく、その子本来の個性が出てくる方向へ。

そして、それを応援できる家族であること。応援できるチームであること。応援できる風土であること。

私たちが本当に育てたいのは、その環境のほうです。

変化のロードマップ ── 焦らないために

栄養療法は、すぐに結果が出るものではありません。細胞が入れ替わるには、それだけの月数が要ります。だから私たちは、時間の見通しを先にお渡しします。

目安は、三段です。はじめの1か月は準備。3か月あたりで、内側からの変化。半年を過ぎると、周りが気づく変化。——変化がない月があっても、順調でないとはかぎりません。

ただし、変化が始まる順番は、体からとはかぎりません。

体より先に、気持ちのほうが動くことがあります。「やってみようかな」「変われるかもしれない」——そう思えた日から、食事もサプリメントも続くようになる。私たちが、何度も見てきた順序です。

だから私たちは、体の土台を整えることと同じくらい、その気持ちが動く瞬間を大切にしています。

それぞれの段で何をするか、うまくいかない日はどうするか——具体策は、LINE限定「スタートアップ・ガイド」に段階ごとにまとめています。

すでに栄養外来へ通われている方へ

診察と診察のあいだの時間を、このページと実践ガイドが埋めます。「なぜこのサプリメントを飲むのか」「なぜこの順番なのか」「食事は具体的にどう変えればいいのか」——診察室の限られた時間では伝えきれないことに、この場で丁寧にお答えしていきます。

栄養療法は長期戦です。短くても3ヶ月、多くの場合は半年以上かけて、ゆっくりと体の土台を整えていきます。「治療を受ける」だけでなく「理解して、自分たちで実践できるようになる」こと。それが、栄養療法の本当のゴールです。

このようなお子様・ご家族に

集中力が続かない、朝起きられない、便秘を繰り返す、偏食が強い、風邪をひきやすい——お子様の困りごとだけではありません。疲れが取れない、つい子どもにイライラして自分を責めてしまう、というお父さん・お母さんご自身の不調も、同じ入口です。

お子様だけでなく、お父さん・お母さんの体の土台も同じ「5つの土台」で整えられます。ご家族みんなで取り組むほうが、続けやすくなります。

学ぶ・実践する・相談する

栄養療法への関わり方は、一つではありません。無料で始められるものから、読み物、個別のご相談まで。ご家族の状況に合わせて、最適な一歩を選んでください。

提供すること(一覧・料金)

教材『からだの土台』── 全12章の読み物

このページでお伝えした「5つの土台」を、ご家庭で使う形にした教材です。第1章「からだの土台の地図」と第3章「うんちは、いちばん正直な手紙です」は、全文無料でお読みいただけます。

教材を読む(第1章は無料)

クリニックの栄養外来との関係

検査にもとづく診断・処方は、医療機関であるクリニックの役割です。このページでお伝えした考え方は、クリニックの栄養外来の診療方針と同じものです。

栄養外来のご予約は、クリニックの予約システムからお取りいただけます。栄養カウンセリングの内容と料金は、提供すること(一覧・料金)のページにまとめています。

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スタートアップ・ガイド今日からできる3つのステップ、変化のロードマップ、困った時の対処法

実践・理論ガイドなぜ腸から始め、なぜ鉄は最後なのか。5つの土台の仕組みと食事の工夫

飲み方攻略ガイド「飲んでくれない」を解決する、年齢別・剤形別の工夫

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私たちについて

LifeCrescendo(ライフクレッシェンド)は、誰に相談していいか分からないご家族のための、学びと伴走の場です。代表は、元・特別支援学校教諭で栄養カウンセラーのちあき。監修は、小児外科専門医の小森広嗣です。

大切にしている順番と、4つの軸は、私たちが大切にしていることに。二人がどんな道を通ってきたかは、私たちについてに書いています。