こんにちは、『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーターのちあきです。
朝、時計を見るたびに焦る、あの感じ。ありませんか。
学校へ行く時間なのに、なかなか支度が進まない。私もつい言ってしまうんです。「早くして」「何回言ったら分かるの」「遅刻するよ」って。返ってくるのは「分かってるよ」「今やるところだったのに」。わが家の息子の顔を思い浮かべながら、これを書いています。
2学期が始まって1ヶ月。夏休みのリズムが戻ってきたと思ったら、今度は少しずつメリハリがなくなってくる、10月の朝。みんなちゃんと行かせているのに、と思うと、ますます焦ってしまうんですよね。
いちばん愛しているはずの子どもに、朝からいちばん腹を立ててしまう。本当は、こんなふうに送り出したいわけじゃないのに。今回は、そんな朝を少しだけ変えるための考え方を、一緒に見ていけたらと思います。
前回の記事「人生のハンドルを自分の手に取り戻す」の続きです。前回を読んでいなくても、この記事だけで分かるように書いています。
この記事でお伝えすること
- 朝のバトルが苦しくなる理由(「親 対 子ども」になっているとき)
- 『7つの習慣』の「相互依存」=「私たち」で考える関係
- アドラー心理学の「課題の分離」で、かける言葉を変える
- 朝に使える3つのステップ「気づく・分ける・聞く」
- ぶつかったときに、関係を育て直す「信頼のちりつも」
🎧 この回のお話は、動画(約17分)でもお聴きいただけます。家事や通勤のお供にどうぞ。
「早くしなさい!」を「どうしたの?」に|YouTube
朝のバトルが苦しいのは「親 対 子ども」になっているから
朝のあの苦しさは、どこから来るのでしょう。
「親が言うことを聞かせなければ」と力が入ると、関係は知らないうちに「親 対 子ども」になります。親が上、子どもが下。押さえつける形です。
かといって反対に、「この子の気持ちを尊重しなきゃ」と思いすぎてしまうこともあります。たとえば子どもが「行きたくない」と言ったときに、「そうね、行きたくないのね。ゆっくりしたいのね」と、親の思いを全部飲み込んでしまう。これも、実は健やかな関係ではないんです。
押さえつけるのでもなく、全部を我慢するのでもない。じゃあ、どうすればいいの。私も何度もここで立ち止まってきました。
「私」でも「あなた」でもなく、「私たち」
ここで助けになるのが、『7つの習慣』が目指す相互依存という考え方です。
『7つの習慣』では、人は3つの段階を通って成長していくと考えます。前回もお話ししたように、見分けるコツは言葉の主語です。
- 依存:主語が「あなた」。「あなたのせい」「あなたが私を幸せにして」
- 自立:主語が「私」。「私はできる」「私は自分で選ぶ」「私は自分の人生に責任を持つ」
- 相互依存:主語が「私たち」。「私たちで、どうしようか」
相互依存は、自分を失って相手に合わせることでも、相手を思い通りに動かすことでもありません。自立した私と、自立したあなたが「私たち」だったら、何を生み出せるだろう。そう考える関係のことなんです。
だからこそ、相互依存の前には「私」がしっかり立っていることが必要でした。前回、ハンドルを自分の手に取り戻すお話をしたのは、そのためなんです。
子育てだと、どうしても「思い通りに動かす」のほうに寄りがちなんですよね。私自身がそうなので、よく分かります。
まず「これは誰の課題?」と分けてみる
相互依存の入り口として、私がよくお借りするのが、アドラー心理学の課題の分離という考え方です。少し『7つの習慣』から寄り道しますね。
見分け方は、とてもシンプルです。「その結果を、最後に引き受けるのは誰?」と考えます。
子どもが学校に行くか、行かないか。これは、誰の課題でしょう。
行かなければ、先生に何か言われたり、勉強が分からなくなったりする。その結果を引き受けるのは、子ども自身です。だから、これは子どもの課題。
一方で、「時間を守ってほしい」と願う気持ち。これは、私の課題です。
ここをいったん、そっと分けてみる。すると「この子には、この子の理由があるのかもしれない」という見方が、ふっと出てくるんです。
ここで大切なことがひとつあります。分けるのは、突き放すためではありません。「それはあなたの問題だから、好きにすれば」は、課題の分離ではないんです。相手の課題に土足で踏み込まないために、いったん分ける。そのうえで、「一緒に考えようか」と声をかける。アドラー心理学では、こうして話し合って一緒に取り組むことにしたものを「共同の課題」と呼びます。
「早くしなさい」を「どうしたの?」に変える
分けられたら、かける言葉が変わります。
「早くしなさい」ではなく、
「どうしたの? 今、何か困ってることある? どうしたら一緒に間に合わせられそう?」
「早くしなさい」は、相手をコントロールしようとする言葉。「どうしたの?」は、「どうしたら私たちが、この朝を越えられるかな」と一緒に考える言葉です。『7つの習慣』でいえば、第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」の入り口でもあります。
たったこれだけで、景色が変わるんです。今までは「早く、早く」と言う親と、「分かってるよ」と返す子の、平行線でした。それが「手伝うことある?」と声をかけた瞬間、親と子どもが同じ側に立って、「間に合わない」という困りごとに向き合うチームになります。
向き合う相手が、子どもから、目の前の問題に変わる。これが、相互依存の分かりやすい入り口だと思っています。
そのとき、心の中で思い出したいのが、第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」です。本当は、どんな朝にしたいんだっけ。本当は、この子に幸せになってほしいんだった。そこに戻れると、口から出る言葉も変わってきます。
正直、これは簡単ではありません。私もいまだに、反射で「しなさい!」が出てしまいます。長年の習慣を変えるのは、本当に大変。うまくいかなくて、もどかしい日もあります。
でも、何度もつまずきながらトライしているうちに、「あ、私たち、乗り越えられたね」という日が来る。そのとき親子の絆は、むしろ前より深くなっているんです。
朝に使える3つのステップ「気づく・分ける・聞く」
ここまでのお話を、朝の数十秒で使える形にまとめてみます。
- 気づく:「早く!」が口から出そうになったら、ひと呼吸。「あ、今、親 対 子どもになりかけている」と気づく
- 分ける:「その結果を、最後に引き受けるのは誰?」と、心の中で分ける。「時間を守ってほしい」は、私の願いとして持っておく
- 聞く:「どうしたの?」「どうしたら一緒に間に合いそう?」と、「私たち」を主語にして聞く
3つ全部できなくて大丈夫です。最初は「気づく」だけでも、朝の空気は少し変わります。
習い事を「やめたい」と言われたときも、同じ
課題の分離は、朝の支度だけの話ではありません。
たとえば子どもが「サッカーをやめたい」「習い事をやめたい」と言い出したとき。親の頭には、いろいろな思いが浮かびますよね。
「ここまで続けてきたのに」「お月謝も払ってきたのに」「もう少し頑張れば変わるかもしれないのに」「簡単に諦める子になってほしくない」。
どれも、子どもを思うからこそ出てくる気持ちです。でも、子どもには子どもの人生があります。
だから「絶対に続けなさい」と親の価値観を押し付けるのでもなく、「好きにすれば」と放っておくのでもない。
「私は、続けることにも価値があると思っているよ。でも、あなたがなぜやめたいと思っているのか、知りたいな」
親の価値観を捨てるわけでも、子どもの価値観を否定するわけでもない。そのあいだに、親の案でも子どもの案でもない「第3の案」を一緒に探していく。話してみたら「なんだ、本当はここをこうしたかったんだ」「じゃあ、それをやってみようか」と、どちらも思いつかなかった答えが出てくることがあります。
『7つの習慣』では、これをシナジー(第6の習慣「シナジーを創り出す」)と呼びます。1+1が2ではなく、100にも1000にもなる。それは、家族の中でも生み出せるんです。
分かってあげたいのに、分かり合えない苦しさ
それにしても、どうして子育ての人間関係は、こんなに苦しいのでしょう。
番組でナビゲーターの水野さんが、「思うがゆえに、なんですよね。親は、こうしたほうが絶対いいという正しい道が見えるから」と話してくれました。本当にそうなんです。
そしてもうひとつ。人間関係は、自分でコントロールできないものと向き合う世界だからなんです。
自分の行動は、自分で選べます。でも、子どもが何を感じているか、夫が何を考えているか、相手が自分を好きになってくれるか。そこまでは、コントロールできません。
「そうか、コントロールできないものを、なんとかしようとしているから、私は今苦しいんだ」。そう一歩引いて見られるだけで、少し息がしやすくなります。子どもは、親の思い通りになる存在ではない。そのことを、私も子育てのたびに改めて教えてもらっています。
ぶつかるのは、関係が壊れたサインじゃない
子どもとぶつかってしまった。夫婦げんかをしてしまった。職場で意見が合わなかった。そんなとき、「関係が悪くなった」と落ち込んでしまいがちですよね。
でも、人間同士が本気で関わり合えば、違いは必ず出てきます。違いが出ることと、関係が悪くなることは、同じではないんです。
問題という「できごと」が起きた。私たちは、それぞれ違う。だから、そのできごとを「私たち」でどう乗り越えるか。そこに向き合えたとき、家族も職場も、チームとして強くなっていきます。
いちばん大切なのは、ぶつかった瞬間の、あのチクッとする痛みとの付き合い方なのかもしれません。
三陸育ちの私は、つい海の話をしたくなるのですが、あのとげとげしいウニは、簡単には取れません。美しいバラにも、トゲがあります。本当においしい果実ほど、厳しい環境の中にあったりするんです。
「どうしよう、怖いな」と思いながら、「えいっ」と荒波を越える。その先に、家族のいちばんおいしい実りが待っているのだと思います。
荒波を越える土台は「信頼のちりつも」
では、その荒波を越える力は、どこから来るのでしょう。
土台になるのは、信頼です。『7つの習慣』では、信頼を銀行の口座にたとえて「信頼口座」と呼びます。信頼は、大きなことではなく、小さな預け入れのちりつも(ちりも積もれば山となる)で育っていきます。
- 自分との小さな約束を守る:前回お話しした「ダイエットを始めたのに、プリンを食べちゃった」のような、ちっちゃな約束から
- 相手との小さな約束を守る:言ったことは守る
- 話を聞く
- 間違ったら、素直に謝る
- その場にいない人も、大切に扱う:陰口を言わない
最後のひとつは、きょうだいのあいだでもよく起きますよね。「お兄ちゃんがこう言ってたんだよ」。そんなとき、その場にいない相手も、いるように大切に扱う。
こうした小さな積み重ねが、ぐらつかない信頼の土台になります。その土台があってこそ、「私たち」で考える相互依存の関係が育っていくんです。
よくある疑問
Q. 課題の分離って、子どもを放っておくことですか?
いいえ、そうではないんです。分けるのは、相手の課題に踏み込みすぎないため。そのうえで「じゃあ、私たちで何ができる?」と一緒に考えるためなんです。見放すことと、見守ることは違います。
Q. 「どうしたの?」と聞いても、子どもが理由を言ってくれません。
うまく言葉にできないことも、ありますよね。そんなときは「そっか。じゃあ、一緒に考えようね」で十分だと思います。答えを引き出すことより、「あなたの味方だよ」という姿勢が伝わることのほうが、信頼の貯金になっていきます。
Q. 小さい子にも、課題の分離はできますか?
年齢によって、親が引き受ける部分は変わります。小さい子の身の安全や健康に関わることは、親が守るところです。それでも、「どうしたの?」と気持ちを聞くことは、何歳からでもできます。分けるのは、子どもに全部を任せるためではなく、親の「こうあってほしい」を押し付けすぎないためなんです。
自分の朝をふりかえる3つの問い
最後に、ひとりで静かにふりかえるための問いを置いておきます。手帳やスマホのメモに、ひと言ずつ書き出してみると、自分の口ぐせが見えてきます。
- 今朝、子どもにかけた言葉は何だった?(主語は「あなた」「私」「私たち」のどれ?)
- その場面で、結果を最後に引き受けるのは誰だった?
- 明日、「私たち」を主語にするなら、何と声をかける?
答えが出ない日があっても、問いを持っているだけで、次の朝の一言は少し変わっていきます。
今日からできる、小さな一歩
番組の最後に水野さんが、「イラッとしたとき、相手に『なんで?』をすぐぶつけない。少しスペースを空けたい」と話していました。私も、同じことを思っています。
明日の朝、「早く!」が口から出そうになったら、ひと呼吸だけ置いて「どうしたの?」に変えてみる。うまくいかない朝があっても、大丈夫です。それは失敗ではなく、おいしい果実に近づいている途中なんです。
「私」と「あなた」が、「私たち」になる朝。一日に一回でも、そんな瞬間が増えていきますように。
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バタバタの朝を乗り越える親子の心とからだを、いちばん下で支えているのは、毎日のごはんです。LifeCrescendo の公式LINEで、家庭で続ける心と体の栄養のヒントをお届けしています。
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この記事をお届けした人
ちあき(小森 千明)
元・特別支援学校教諭 | 栄養カウンセラー
── ライフコーディネーターとして、ご家族の食卓と、毎日の選択の隣にいます
特別支援学校の教員でした。教えていたのは、音楽です。言葉にならない声を、聞き取る仕事でした。その聞き取り方を、いちばん近いところで試されたのが、わが子の子育てです。
メロディーは、その人のもの。私が変えるのは、リズムのほう。
小児外科専門医のクリニックで、栄養カウンセリングを重ねてきました。いまも毎日、現場にいます。
弘前大学 教育学部 障害児教育課程卒。特別支援学校教諭一種免許(知的障害・肢体不自由・病弱)、中学校・高校 音楽教諭一種免許。オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)認定。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。
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ちあき|こどもの栄養カウンセラー×3児の母🌱 @LifeCrescendoC
