この記事を書いた人
栄養カウンセラー ちあき
小児外科専門医 小森広嗣 監修
朝は起こして、ごはんを食べさせて、送り出す。夕方は帰ってきてから、お風呂、ごはん、宿題、寝かしつけ。気づけば一日じゅう「早く」「急いで」と言っていて、ゆっくり向き合う時間がなかった——そんな日、ありますよね。
先にお伝えすると、タッチケアは、特別な時間をつくらなくても、毎日の隙間の「1分」でできるんです。 背中に手を当てる、頭をなでる、手を包む。手のひらでやさしく触れるだけで、「あなたが大切だよ」という気持ちは、言葉より先に伝わります。タッチケア講師として、たくさんの親子と触れ合ってきた中で、いちばん実感していることです。
タッチケアって、何をすること?
タッチケアというと、ベビーマッサージのような決まった手順を思い浮かべるかもしれません。もちろんそれもタッチケアのひとつですが、いちばん大切なのは、手のひらで、やさしく、ゆっくり触れることなんです。
- 背中に手を当てる:「行ってらっしゃい」と、背中をポンポン
- さする:泣いている赤ちゃんを抱っこしながら、背中をゆっくり
- なでる:「よく頑張ったね」と、頭をそっと
- 包む:小さな手を、両手でふわっと
特別な道具も、むずかしい技術もいりません。そこに込めた気持ちが、手のひらから伝わっていきます。
手のひらで、やさしく、ゆっくり触れる。
触れると、どうして安心が伝わるの?
ふれあいのときに注目されているのが、オキシトシンというホルモンです。「愛情ホルモン」「きずなホルモン」と呼ばれることもあり、抱っこや授乳、やさしいスキンシップで分泌がうながされ、安心感や、人とのきずなに関わっていると考えられています。
おもしろいのは、触れられる子どもだけでなく、触れている親の側にも、ほっとする感覚が返ってくること。忙しくてイライラしていた夕方も、子どもの背中をなでているうちに、自分の呼吸がゆっくりになっていた——そんな経験はありませんか。タッチケアは、親子の両方の心を落ち着かせてくれるんです。
そして、家庭の中で「触れられて安心した」経験を重ねることは、子どもが外の世界で人と関わっていくときの、土台のひとつになります。お友だちとの関係も、先生とのやりとりも、新しいことへの挑戦も、「帰れば安心できる場所がある」という感覚に支えられているんですよね。
オキシトシンと毎日の食卓の関係は、下の「合わせて読みたい」で詳しくまとめています。
触れる側にも、触れられる側にも、安心が届く。
毎日のどの隙間に、触れられる?
「タッチケアの時間をつくらなきゃ」と思うと、続きません。いつもの毎日の中に、1分の隙間を見つけてみましょう。
- 朝、起こすとき:いきなり声をかけるより、背中や足を手のひらでさすりながら「おはよう」
- 送り出すとき:「行ってらっしゃい」と、背中にポンポン、ぎゅっとハグ
- 帰ってきたとき:「おかえり」と、肩や頭にそっと手を置く
- お風呂上がり:保湿クリームを塗るついでに、手足をゆっくりなでる
- 寝る前:お布団で、背中を上から下へ、ゆっくりなでる。今日がんばったことを、ひとつ話しながら
- 子どものスキンシップの効果は?触れると心と体に起きること、親に返ってくること
- 赤ちゃんの月齢別ふれあい遊びとタッチケア。新生児から1歳まで、育ちに合わせた触れ方
全部やらなくて大丈夫。今日はどれかひとつ、から始めてくださいね。
1日1回、1分の隙間から。
年齢によって、触れ方は変わる?
子どもの成長に合わせて、心地よい触れ方は変わっていきます。
赤ちゃん:抱っこ、背中をさする、手足をやさしくなでる。おむつ替えのたびに、お腹や足にそっと触れるだけでも十分です。

幼児:手遊びやわらべうた、背中に指で絵を描いて当てっこする「背中お絵かき」。遊びの中に、ふれあいがたくさん隠れています。

小学生:ハイタッチ、肩もみの交換、寝る前の「背中トントン」。「肩もみして」と頼むと、子どもが親に触れてくれる時間にもなりますよ。
思春期:無理に触れなくて大丈夫。肩にぽんと手を置く、すれ違いざまにハイタッチ、くらいの軽さで。同じ部屋で過ごす、目を見て「おかえり」と言う。それも立派なふれあいです。
その子の年齢と気持ちに合わせて。
上手に触れるコツは?
- 手を温めてから:冷たい手は、びっくりさせてしまいます
- 手のひら全体で:指先でつつくより、手のひらで包むように
- ゆっくり動かす:速くこするより、ゆっくりなでるほうが、心地よく感じやすいんです
- 声をそえる:「気持ちいいね」「今日もがんばったね」
- 嫌がったら、やめる:「触っていい?」と聞いて、子どもが「いや」と言ったら、その気持ちを大切に。触れないことも、相手を大切にするタッチケアです
AI がどんどん便利になっていく時代だからこそ、手のぬくもりで伝わるものの大きさを、私は毎日感じています。
温かい手のひらで、ゆっくり、声をそえて。
ここまでできていれば、大丈夫です
- いまの食卓に、たんぱく質・ビタミンとミネラルが、そこそこ入っている(炭水化物だけになっていない)
- 1日に1回、背中や頭にそっと触れる時間がある
- 子どもの年齢に合った触れ方を、ひとつ知っている
- 子どもが嫌がったときは、やめられる
- 触れているとき、自分の呼吸もゆっくりになっている
こんなときは、相談を
触れられることを強く嫌がる、服のタグや手をつなぐことも我慢できないほど感覚の過敏が強い、そのせいで毎日の暮らしに困っている。こういうときは、ひとりで抱えずに、園や学校の先生、地域の子育て相談、医療機関に相談してみてくださいね。その子に合った関わり方を、一緒に考えてもらえます。
今日からできるワンアクション
今日は、ひとつだけ。
今夜、寝る前に、子どもの背中を手のひらでゆっくり10回なでてみませんか。
「今日もがんばったね」と、ひとことそえて。忙しい一日の終わりの1分が、子どもにとっても、お父さんお母さんにとっても、ほっとできる時間になりますように。
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※ ここでお渡しするのは、家庭での教育と実践のサポートです。診断や治療は、医療機関の役割です。
この記事をお届けした人

ちあき(小森 千明)
元・特別支援学校教諭 | 栄養カウンセラー
── ライフコーディネーターとして、ご家族の食卓と、毎日の選択の隣にいます
特別支援学校の教員でした。教えていたのは、音楽です。言葉にならない声を、聞き取る仕事でした。その聞き取り方を、いちばん近いところで試されたのが、わが子の子育てです。
メロディーは、その人のもの。私が変えるのは、リズムのほう。
小児外科専門医のクリニックで、栄養カウンセリングを重ねてきました。いまも毎日、現場にいます。
弘前大学 教育学部 障害児教育課程卒。特別支援学校教諭一種免許(知的障害・肢体不自由・病弱)、中学校・高校 音楽教諭一種免許。オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)認定。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。
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ちあき|こどもの栄養カウンセラー×3児の母🌱 @LifeCrescendoC
