この記事を書いた人
栄養カウンセラー ちあき
小児外科専門医 小森広嗣 監修
離乳食のあと、口のまわりはごはんでいっぱい。ガーゼを手に近づけた瞬間、顔をぷいっとそむけて、のけぞって大泣き。手を拭こうとすれば、ぎゅっとにぎって離さない——そんな毎日に、ちょっと疲れていませんか。
先にお伝えすると、赤ちゃんが口や顔、手を拭かれるのを嫌がるのは、わがままではなく、そこがとても敏感な場所だからなんです。 だから、拭き方を少し変えて、ふだんの遊びの中で「顔や手に触れられることに慣れる」時間をつくってあげる。それだけで、拭く時間も、離乳食の時間も、ぐっとラクになっていくんです。
この記事でわかること
- 赤ちゃんが口や顔、手を拭かれるのを嫌がる理由
- 口・顔・手、それぞれの嫌がりにくい拭き方
- 遊びの中でできる顔のタッチケアと、離乳食の時間を楽しくするコツ
どうして、拭かれるのを嫌がるの?
口のまわりや手のひらは、体の中でも、とても感覚が敏感な場所です。生まれてからずっと、おっぱいやミルクを飲むために、口のまわりで世界を感じてきた赤ちゃんにとって、そこを急に触られるのは、大人が思う以上にびっくりすることなんですね。
嫌がりやすいのは、こんなときです。
- 急に触られる(前ぶれなく、顔にガーゼが来る)
- 冷たいおしぼりやウェットティッシュ
- ゴシゴシこする(肌がこすれてヒリヒリする)
- 食べることに夢中なときに、中断される
赤ちゃんにとっては、「嫌だ」と伝える方法が、顔をそむける・泣く・のけぞることしかないんです。
嫌がるのは、敏感な場所を急に触られて、びっくりしているから。
口や顔は、どう拭けばいい?
ちょっとした工夫で、拭く時間がやわらかくなります。
- 拭く前に、声をかける。「お口、きれいきれいしようね」。前ぶれがあるだけで、赤ちゃんは心の準備ができます
- 温かいガーゼで。ぬるま湯でしぼったガーゼやおしぼりは、冷たいものよりずっと受け入れやすいんです
- こすらず、そっと押さえる。ゴシゴシではなく、ポンポンと押さえるように
- 食べ終わってから、まとめて。食事の途中で何度も拭くより、最後にまとめてのほうが、食べる楽しさがとぎれません
- ほめて終わる。「きれいになったね、さっぱりしたね」。最後がうれしい言葉だと、次も少しラクになります
声をかけて、温かいガーゼで、そっと押さえる。
手を拭くのを嫌がるときは?
赤ちゃんの手は、まだぎゅっとにぎっていることが多く、開かれること自体が苦手な子もいます。
- 手遊び歌の中で、指を一本ずつ「こんにちは」とさわる
- 拭くときも、歌いながら一本ずつ。「いっぽんばしこちょこちょ」のように、遊びの延長にしてしまうんです
- 1歳をすぎたら、自分で拭く練習を。ガーゼを渡して「ふきふきしてみる?」。自分でできると、嫌がる気持ちより「やりたい」が勝つことがあります
| 順番 | 拭き方 |
| 1 | にぎったままの手は、無理に開かず、まず手の甲から温かいガーゼでそっと包む |
| 2 | 手のひらは、赤ちゃんが自分から手を開いたときに、ポンポンと押さえる |
| 3 | 指の間は最後に。歌いながら一本ずつ |
1歳半ごろからは、洗面所で一緒に手を洗う「水あそび」に変えていくのもおすすめです。拭かれるより、自分で洗うほうが好きな子も多いんですよ。
手は、遊び歌の延長で、一本ずつ。
鼻水や、顔を拭くのを嫌がるときは?
鼻水を拭くのは、口のまわり以上に嫌がる子が多いですよね。鼻の下は、皮膚がとても薄くて、こすると赤くなりやすい場所です。
- ぬるま湯でしぼった、やわらかいガーゼかティッシュで、鼻の下にそっと当てて吸い取るように
- 何度も拭いて赤くなってきたら、拭いたあとに保湿をしてあげる
- 顔全体を拭くときは、おでこ → ほっぺ → 口のまわりの順に、外側から。いちばん敏感な口と鼻は、最後に
鼻と口は、最後に、そっと当てて吸い取る。
遊びの中でできる、顔のタッチケアは?
拭く時間だけで慣れさせようとすると、どうしても「嫌な時間」が増えてしまいます。だからこそ、食事以外の、ごきげんなときに、顔に触れられることに少しずつ慣れていくのがおすすめなんです。
やり方(1回10秒からで大丈夫)
- まずは大人の大きな手で、赤ちゃんのお顔全体を包み込むように、そっと触れます
- じわ〜っと触れて、手を離すときはふわ〜っとゆっくり
- 慣れてきたら、おでこ → ほっぺ → 口のまわりの順に、指の腹でやさしく
- お歌を歌いながら、声をかけながら
嫌がったら、やめましょう。 無理に続けると、ますますお顔を触られることが嫌になってしまいます。お風呂上がりや、着替えのあと、機嫌のよいときに、ほんの少しずつ。
タッチケアの教室で、私がいつもお伝えしているのは、触る前に「これから触るよ」と声をかけること。そして、声のトーンを、赤ちゃんの呼吸に合わせて「気持ちいいね」と、ゆっくり。キャッキャと喜んでいたら、「楽しいね」と少しはやく。
嫌がったときは、一度ストップして、「嫌だったね」と気持ちを言葉にして返します。嫌なら「嫌だね」、うれしいなら「うれしいね」。気持ちを半分ずつ分かち合ってもらえることが、赤ちゃんにとっての「安心できる場所」になるんですよね。
触れられることに慣れてくると、拭く時間だけでなく、歯みがきや、お医者さんで口の中を見てもらうときにも、つながっていくんですよね。
ごきげんなときに、顔全体を包むところから。
離乳食の時間を、楽しい時間にするには?
拭くのを嫌がる子は、「食事の時間=嫌なことがある時間」になってしまうことがあります。だからこそ、食卓そのものを楽しい場所にしてあげたいんです。
- 離乳食が始まる前から、家族の食卓に参加する。抱っこしながら、家族が食べる様子をのぞく程度で十分です。「美味しそうだね」「もぐもぐしてるね」と様子を伝えてみましょう
- きょうだいがいれば、まねっこの力を借りる。お兄ちゃん・お姉ちゃんが食べる姿は、何よりの先生です
- 離乳食が安定してきたら(9〜10か月ごろ)、体が安定する椅子に座って、家族で食卓を囲む
食べることって楽しいんだ、と感じることが、心の育ちにも、離乳へ近づく一歩にもつながっていきます。
食卓を、まず楽しい場所に。
離乳食の時期に、大切にしたい栄養は?
生後半年ごろからは、おっぱいやミルクだけでは足りなくなる栄養を、少しずつ食べ物からとっていく時期です。なかでも鉄は、この時期に大切になる栄養のひとつ。赤ちゃんの機嫌や元気とも関わることがあるといわれています。
くわしくは、こちらの記事でお話ししています。
ここまでできていれば、大丈夫です
- 拭く前に、ひと声かけられている
- 冷たいものではなく、温かいガーゼで、そっと押さえて拭けている
- ごきげんなときに、10秒だけでも顔に触れる時間がある
- 嫌がる日があっても「敏感なんだな」と受け止められている
よくある質問
拭かれるのを嫌がるのは、いつまで続きますか?
その子によって違いますが、自分で拭いたり、手を洗ったりできるようになる1歳半〜2歳ごろには、落ち着いてくる子が多いです。それまでは、「敏感な時期なんだな」と受け止めて、拭き方の工夫と、ごきげんなときのタッチで、少しずつ慣れていけば大丈夫です。
ウェットティッシュを使ってもいいですか?
使ってかまいません。冷たさが苦手な子には、手のひらで少し温めてから。肌が赤くなりやすい子は、ぬるま湯でしぼったガーゼのほうがやさしいです。
食事中に何度も拭いたほうがいいですか?
食事の途中で何度も拭くより、食べ終わってから、まとめて拭くほうが、食べる楽しさがとぎれません。服や床の汚れは、エプロンやシートで気楽にいきましょう。
こんなときは、医療機関で相談を
拭き方の工夫より先に、相談していただきたいサインもあります。口のまわりの赤み・ただれがひどくなっていく、特定のものを食べたあとに口のまわりが赤く腫れる・じんましんが出る、体重がなかなか増えない、飲み込みにくそう・むせることが多い。 こういうときは、ご家庭で様子を見ずに、医療機関で相談しましょうね。
今日からできるワンアクション
今日は、ひとつだけ。
お風呂上がりに、好きなお歌を歌いながら、赤ちゃんのお顔を両手でそっと10秒、包んでみませんか。
嫌がったら、すぐにやめて大丈夫。にこっとしてくれたら、その日は合格です。毎日のちいさな10秒が、拭く時間を、食事の時間を、少しずつやさしい時間にしていってくれます。ちりつもで、一緒にやっていきましょうね。
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LifeCrescendo が目指しているのは、困りごとが消えることだけではありません。栄養で体と心の土台を整え、その先で、子どもとご家族が「楽しく生き続ける」ところまで、一緒に歩むこと。いまの困りごとから、1つ、2つずつで大丈夫です。(私たちが大切にしていること)
ベビーマッサージ・タッチケア講師で栄養カウンセラーのちあきが、家庭で続ける心と体の栄養のヒントを、LifeCrescendo の公式LINEでお届けしています。
※ ここでお渡しするのは、家庭での教育と実践のサポートです。診断や治療は、医療機関の役割です。
この記事をお届けした人

ちあき
心と体の栄養カウンセラー | ライフクレッシェンド株式会社 代表
── ライフコーディネーターとして、ご家族の食卓と、毎日の選択の隣にいます
特別支援学校の教員でした。教えていたのは、音楽です。言葉にならない声を、聞き取る仕事でした。その聞き取り方を、いちばん近いところで試されたのが、わが子の子育てです。わが子の発達に悩み、「私の愛し方が足りないのだろうか」と自分を責めた日々もありました。転機は、体の土台を整える「栄養」でした。
メロディーは、その人のもの。私が変えるのは、リズムのほう。
小児外科専門医のクリニックで、子どもと家族の栄養カウンセリングを重ねてきました。いまも毎日、現場にいます。2019年の秋からは、地域の親子ひろばなどで、ベビーマッサージ・タッチケアの教室も開いています。
弘前大学 教育学部 障害児教育課程卒。特別支援学校教諭一種免許(知的障害・肢体不自由・病弱)、中学校・高校 音楽教諭一種免許。オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)認定。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。
▼ 日々の気づきは、Xで
ちあき|こどもの栄養カウンセラー×3児の母🌱 @LifeCrescendoC
