この記事を書いた人
栄養カウンセラー ちあき
小児外科専門医 小森広嗣 監修
こんにちは、『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーターのちあきです。
朝、時間がない。子どもがなかなか着替えない。
「もういいよ、お母さんがやっちゃうから」。パパッと着替えさせて、「はい、早い早い」。
自分でやった方が早い、と思う朝はありますよね。
前回から番組で、誰もが知っている童話を『7つの習慣』の視点で読み解くシリーズをお話ししています。今回は『3匹の子ぶた』と『オオカミ少年』。物語も教訓もまったく違う2つのお話なんですけれども、実は同じ問いが隠れているんです。
今すぐ得られる結果と、長い時間をかけて育てるもの。あなたは、どちらを大切にしますか。
先にお伝えすると、「自分でやった方が早い」の手前で一度だけ立ち止まれると、同じ朝でも手の出し方が変わってくるんです。今日は、2つの童話を手がかりにお話しします。
シリーズの1回目は、『北風と太陽』と『うさぎとかめ』を7つの習慣で読み解くお話でした。今回は、もう少し長い時間の話になります。
この記事でわかること
- 『3匹の子ぶた』に学ぶ、成果(P)と、成果を生み出す力(PC)のバランス
- 「自分でやった方が早い」朝に、わらの家を選ぶとき、レンガの家を選ぶとき
- 『オオカミ少年』に学ぶ、信頼残高の預け入れと引き出し
- 親が約束を守れなかったときに、もう一度預け直す方法
- レンガを積む力を、体の側からも支えること
『3匹の子ぶた』:わらの家、木の家、レンガの家
まずはおさらいです。番組では、1匹目・2匹目と呼ぶとちょっとかわいそうなので、長男・次男・三男と呼ぶことにしました(笑)。
長男くんは、わらの家。簡単、簡単、さっさっさー。「はい、できた」。
次男くんは、木を集めてきて、トントントン。「あー、できた、完成」。
三男くんは、重いレンガを運んできて、よいしょ、よいしょ。一つひとつ積み上げて、ようやく頑丈なレンガの家ができました。時間もかかったし、労力もかかったはずです。
そこへオオカミがやってきて……最後まで残ったのは、レンガの家でしたよね。
PとPC:成果と、成果を生み出す力
ここで出てくるのが、『7つの習慣』のPとPCのバランスです。
- P(プロダクション)=成果
- PC(プロダクション・ケイパビリティ)=その成果を生み出す能力
『7つの習慣』の本では、このバランスを「黄金の卵を産むガチョウ」の童話で説明しています。黄金の卵が早くたくさん欲しくなって、お腹の中に卵があるはずだとガチョウを殺してしまったら、もう卵は手に入らなかった、というお話です。
つまり、今日の成果だけを求めて、明日の成果を生み出す力を壊していませんか、という問いなんです。
子どもが着替えない朝、「自分でやった方が早い」で起きていること
子育てに置きかえてみます。
朝、着替えない子に、親が着替えさせる。そうすると「時間通りに家を出る」という今日の成果(P)は、ちゃんと手に入ります。
でも、それを毎日続けたらどうでしょう。「自分で着替える力」という、成果を生み出す力(PC)は、育ちにくくなるかもしれないんです。
宿題も同じなんですよね。答えを教えれば早いんです。確かにそうなんです。でも、考えるという過程は、時間も労力もかかるけれど、その中でしか育たない「考える力」があるんです。
わらの家を選ぶ日があってもいい
ここで大事なのは、「わらの家はダメ、いつもレンガで」というお話ではない、ということなんです。
親だって、本当に忙しいんです。ついつい、わらの家を作りたくなっちゃう。私もそうなんです。
番組でナビゲーターの水野さんが、こんなふうにまとめてくれました。
「時には、だから、わらでもいいけど、その時は自覚を持った方がいいってことですね。」
まさに、そうなんです。わらを選ぶこと自体が悪いのではなくて、「今、私は何を優先してたっけ」を思い出せているかどうかなんですよね。
10年後、この子に何が残っていてほしい?
迷ったときは、少し先を見てみます。
10年後、この子に何が残っていてほしいかな。
「遅刻しないで家を出られた朝」の数でしょうか。それとも、「自分で服を選んで、自分で着られる子」になっていることでしょうか。もちろん、その中には時間の管理を覚えることも含まれていると思うんです。
この子に何を身につけてほしいのか。 それが見えていると、同じ朝でも、手の出し方が少し変わってくるんです。
『オオカミ少年』:信頼は、少しずつ減っていく
次はオオカミ少年のお話です。
少年は「オオカミが来たぞ!」と嘘をつきます。村の人たちは慌てて駆けつけますが、オオカミはいません。少年は面白がって、同じことを何度も繰り返しました。
ある日、本当にオオカミが来ました。少年がどれだけ「本当なんだよ、助けてよ」と叫んでも、もう誰も信じてくれませんでした。
「嘘をつくと信用されなくなるよ」という教訓で聞いてきた方が多いと思います。これを『7つの習慣』の目で読むと、見えてくるのが信頼残高なんです。
預け入れと、引き出し
信頼は、銀行の口座のように、預けたり引き出したりしながら残高が変わっていきます。
| 残高が増える(預け入れ) | 残高が減る(引き出し) |
|---|---|
| 約束を守る | 嘘をつく・約束を破る |
| 話を聞く | 話を聞かない |
| 相手を尊重する | 相手を軽く扱う |
| 間違えたら謝る | ごまかす |
オオカミ少年は、一度の嘘ですべてを失ったわけではないんですよね。小さな引き出しを何度も重ねてきたから、いざというときに残高がなくなっていたんです。
親も、引き出しをしている
ここで、子育てあるあるです。
嘘をつくのは子どもだけ、ではないんですよね。
- 「後で遊ぼうね」
- 「分かった分かった、後で話聞くから」
- 「今度行こうね」
- 「怒らないから、本当のこと言いなさい」
……そして、怒ってしまう(苦笑)。
「怒らないって言ったのに、怒ったじゃん」。子どもは、こういうことを驚くほどよく覚えていますし、小さく傷ついているんです。
約束を守れなかったときに、もう一度預け直す
親も子も、完璧じゃない日はお互いさまなんです。大切なのは、そのあとなんですよね。
「約束、守れなくてごめんね」
「あのとき、ちゃんと聞いてあげられなくてごめんね」
こうして素直に謝ることが、そのまま信頼残高への預け入れになるんです。謝る勇気を、親も持っていたいんです。
私の「爪切り事件」
私も最近、やってしまいました。
子どもの爪が伸びているのが気になって、寝ているうちに、勝手に切ってしまったんです。そうしたら、起きた子から「自分で切りたかったのに」と。
不衛生に見えたから切ったんだよ、と説明はしました。心のどこかでは「許してよ」という気持ちも、正直ちょっとありました(笑)。
でも、この子は「自分でやりたかった」んですよね。
だから、「自分で切りたかったんだね。その機会をなくしてしまって、ごめんね」と、3回くらい謝りました。
昔の私は、「切ってあげたのに!」と逆切れしていました(笑)。今は、嫌だったんだなと受け止めて、ごめんと言える。……ただ、それができるようになるまでに、私もたくさん失敗してきました。日々、実践して、失敗して、の繰り返しなんです。
この爪切り、『3匹の子ぶた』の話とも重なるところがあるんですよね。親が切った方が早い。でもそのぶん、「自分でやる」という機会を、親の側が取ってしまうこともあるんです。
2つの童話をつなぐもの:大切なものは、1日では作れない
3匹の子ぶたとオオカミ少年。2つのお話がつながるのは、ここなんです。
大切なものは、1日では作れない。
レンガの家は、一個ずつ積むしかありません。信頼残高も同じです。
「おはよう」
「ありがとう」
「ごめんね」
「あなたはどう思う?」
一つひとつは小さなレンガ。まさに、ちりつもなんです。
逆に、ものすごく良いことを一度したからといって、「これで信頼関係はバッチリ」とはいかないのが人間なんですよね。
うまくいかなかった日も、失敗ではない
子育てをしていると、「もうダメかも」「私、母親として失格だな」と思う日が、本当にあります。私にもあります。
でも、それは失敗ではありません。
その日、積んでいたレンガがぐらっと崩れたかもしれない。それでも、明日からまた積めばいいんです。傷を負ったままでも、積んでいく。信頼を引き出してしまったら、よいしょ、とまた預ければいい。
完璧な家を、今日1日で建てることが目的ではないんです。積み続けること。 それが子育ての本当の成果であり、成果を生み出す力なんだと思います。
崩れては積み直した日の分だけ、家も、親子の関係も、少しずつ厚みを増していく。私はそう感じています。
レンガを積む力は、体の側からも支えられる
最後に、子どもの心と体の栄養カウンセラーとして、ひとつ付け加えさせてください。
待つことや、話を聞くことに「余裕がない」と感じるとき、心の持ち方だけでなく、体の余裕のなさが関わっていることもあるんですよね。
そんな日は、自分が眠れているか、ごはんを食べる時間が取れているかにも、目を向けておきたいんです。子どものことを先に考える毎日だからこそ、自分の食事や眠りまで後回しにしなくていいんです。
レンガを一個ずつ積むには、積む人の体に、少しのゆとりが要るんです。朝、自分もひと口食べてから声をかける。子どものおにぎりに、卵やしらすをちょい足しする。そんな台所の小さな選択を、自分や家族の体をいたわる一歩にできたらと思うんです。
こんな小さな一つも、積み重ねなんです
- 今日はわらの家だと、自覚して選べた
- 「自分でやった方が早い」の手前で、一度だけ待てた
- 「後でね」と言ったことを、あとからでも思い出して拾えた
- 約束を守れなかった日に、「さっきはごめんね」と預け直せた
よくある質問
わらの家を選ぶのは、いけないことですか?
いけないことではないんです。毎朝レンガを積める人は、たぶんいません。大事なのは、「今日はわらの家」と自覚して選べているかどうか。気づいて選んでいるなら、それはもう主体的な選択なんです。
子どもに任せると、遅刻してしまいます
そういう朝は本当にありますよね。だから、全部を任せなくていいんです。「今日はここだけ自分でやってみる」と一か所だけ決める。レンガは一個ずつでいいんです。時間に余裕のある日に、少しだけ渡す、くらいから始まります。
信頼残高は、一度減ったら戻らないんですか?
また、少しずつ信頼を育てていくことはできるんです。オオカミ少年が信じてもらえなくなったのは、小さな引き出しを何度も重ねたからでした。すぐ元どおりとは限らなくても、相手の気持ちを聞きながら、小さな約束を守っていく。その積み重ねが大切なんですよね。約束を守る、話を最後まで聞く、間違えたら謝る。その一つずつが預け入れなんです。
つい「怒らないから」と言ってしまいます
「怒らないから」と言ったのに、怒ってしまうこともありますよね。子どもはよく覚えているんですよね。だからこそ、気づいたときに「怒らないって言ったのに、怒っちゃったね。ごめんね」と伝える。それも、大切な預け入れの一つなんです。
今日からできる、小さな一歩:「今、何のレンガを積んでる?」
番組の最後に、こんなことをお話ししました。
「私、今、何のレンガを積んでいるんだろう」
その問いを、ポケットに入れておくだけでいいんです。迷ったときのために、表にしてみました。
| 場面 | わらの家(今日の成果) | レンガの家(育てたい力) | 自分への問い |
|---|---|---|---|
| 朝の着替え | 時間通りに家を出る | 自分で着替える力 | この子をただ早く動かしたいだけ? |
| 宿題 | 早く終わる | 自分で考える力 | 答えを渡す? 考える時間を渡す? |
| 約束を守れなかった日 | その場を流す | 親子の信頼残高 | 「ごめんね」を、もう言えた? |
全部の朝をレンガにしなくて大丈夫です。わらの日は「今日はわら」と気づいていれば、それでもう十分。
もし今日、どこかで信頼を引き出してしまったなと思ったら、寝る前にひとこと「さっきはごめんね」と、預け直してみませんか。
ちりも積もれば山となる。一緒に、一個ずつ積んでいきましょうね。
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この記事をお届けした人

ちあき
元・特別支援学校教諭 | 栄養カウンセラー
── ライフコーディネーターとして、ご家族の食卓と、毎日の選択の隣にいます
特別支援学校の教員でした。教えていたのは、音楽です。言葉にならない声を、聞き取る仕事でした。その聞き取り方を、いちばん近いところで試されたのが、わが子の子育てです。
メロディーは、その人のもの。私が変えるのは、リズムのほう。
小児外科専門医のクリニックで、栄養カウンセリングを重ねてきました。いまも毎日、現場にいます。
弘前大学 教育学部 障害児教育課程卒。特別支援学校教諭一種免許(知的障害・肢体不自由・病弱)、中学校・高校 音楽教諭一種免許。オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)認定。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。
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ちあき|こどもの栄養カウンセラー×3児の母🌱 @LifeCrescendoC
