この記事を書いた人
栄養カウンセラー ちあき
小児外科専門医 小森広嗣 監修
こんにちは、『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーターのちあきです。
「早く起きなさい」「宿題しなさい」「ゲームやめなさい」「お風呂入りなさい」「片付けなさい」。
ピューピュー言っても動かない。だから、もっと強く言う。「いい加減にしなさい」。そして最後は、「何回言ったらわかるの!」。
……これ、童話の「北風」になっていませんか? 私もしょっちゅう、北風になっています(苦笑)。
先にお伝えすると、子どもを動かす方法を探す前に、自分がいまどちらの風を吹かせているかに気づけると、夕方の空気が少し変わるんです。今日は、誰もが知っている2つの童話を手がかりにお話しします。
『7つの習慣』の本の中には、いくつか逸話が出てきます。たとえば「黄金の卵を産むガチョウ」の話。成果と、成果を生み出す力のバランスを説明するために出てくる、あの童話です。
せっかく子育て中のお父さん、お母さんが読むのだから、いつも読み聞かせている童話の中に「ここにも7つの習慣が隠れてたか!」と見つけられたら、いちばんすっと入ってくるんじゃないかなと思ったんです。そこで、番組でシリーズにしてお話ししていくことにしました。ビジネス本や自己啓発本としてではなく、「そういうことね」と、肩の力を抜いて読んでいただけたらうれしいです。
前回は、禅の3つの言葉と第1の習慣「主体的である」を重ねるお話をしました。今回は、その「主体的である」を、童話の中から見つけていきます。
この記事でわかること
- 『北風と太陽』に学ぶ、第1の習慣「主体的である」=変えられるものと、変えられないものを見極めること
- 『うさぎとかめ』に学ぶ、隣のうさぎを見ないこと(影響の輪)と、ゴールを持つこと(第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」)
- 北風と亀の、似ているところと、大きな違い
- 北風になりにくい土台を、体の側からつくること
『北風と太陽』:コートを脱がせたのは、どちらだったか
まずはおさらいです。
北風と太陽が「どっちが強いか」で言い合いになり、通りかかった旅人のコートを脱がせたほうが勝ち、という勝負をします。
北風は「俺の力で脱がせてやる」と、強い風を吹かせます。すると旅人は「寒い、絶対に脱がない」と、ギューッとコートを押さえてしまいました。
次に太陽が、ポカポカと暖かく照らします。旅人は「あれ、急に暑くなってきたな」と、自分からコートを脱ぎました。
子育ての「ピューピュー」
子育てに置きかえると、冒頭の「〜しなさい」の連続が、まさに北風なんです。言えば言うほど、子どもはコートをギューッと押さえる。だからもっと強く吹く。逆効果のループですよね。
「太陽のように優しく」が答え、ではないんです
ここで大事なのは、「北風は間違っている。太陽のように優しくしましょう」というお話ではない、ということなんです。
この童話から見えてくるのは、『7つの習慣』の第1の習慣「主体的である」です。
主体的であるというのは、何でもかんでも自分の思い通りにすることではありません。むしろ、自分が変えられるものと、変えられないものを見極めることなんです。
- 変えられないもの:子どもがゲームをやめるかどうか、勉強するかどうか、機嫌よくするかどうか。これは、あくまでも子ども自身の選択。親が100%コントロールできるものではないんですよね
- 変えられるもの:私がどんな言葉を使うか。どんな表情で話すか。今、話しかけるのか、それとも待つのか
問いを「どうしたらこの子を動かせるんだろう」から、「この状況で、私は何を選ぶんだろう」に変えてみる。
太陽は、旅人のコートを無理やり脱がせていません。旅人が自分から脱ごうと思える環境を作っただけ。これが、北風と太陽から学べる主体性なんです。子どもが自分からやる気を出せる環境を作ることは、親にできることなんですよね。
『うさぎとかめ』:亀は、うさぎを見ていなかった
「もしもし亀よ、亀さんよ」の歌でおなじみのお話です。
うさぎは「亀なんかに負けるわけがない」と、途中で休んでしまいます。一方の亀は、ゆっくりゆっくり、一歩ずつ進み続けて、最後には亀が勝ちました。
「油断してはいけない」「コツコツ続けることが大事」という教訓として聞いてきた方が多いと思います。これを『7つの習慣』の視点から読むと、また別のものが見えてくるんです。
よその子と比べてしまうとき:隣のうさぎが見えてくる
亀は、うさぎをコントロールしようとしていませんよね。
でも子育てをしていると、私たちはどうしても隣のうさぎを見てしまいます。
「あの子はもう字が書けてる」
「あの子は選手に選ばれた」
「あの子はちゃんと挨拶ができるのに、うちの子は……」
SNSを見たり、お母さん友だちと話したりすると、速いうさぎさんたちがたくさん見えてくる。そうすると、いつのまにか「なんでうちの子はできないの」と思ってしまうんですよね。
もし亀が、レースの間ずっと「うさぎは今どこ?」「どうして私はうさぎみたいに走れないんだろう」と考えていたら、どうでしょう。気が散ってしょうがないし、目の前の一歩に集中できないですよね。亀らしさも、なくなってしまいそうです。
亀にできるのは、うさぎになることではありません。自分なりに、次の一歩を出すこと。それ一択なんです。
「私にできることってなんだろう」と考えて、一歩踏み出す。これが『7つの習慣』でいう影響の輪です。自分が影響を与えられるところに、力を注ぐということなんです。
亀には、ゴールがあった
もうひとつ、亀から学べるのが、第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」です。
亀にはゴールがありました。だから、途中で「自分は遅い」という事実を見ても、歩くことをやめなかったんです。番組では、ナビゲーターの水野さんが「偉い亀さん」と言ってくれました(笑)。
子育てでも、「宿題できたの?」「ちゃんと学校行った?」「遅刻しなかった?」と、目先の成果ばかりを見ていると、親も子も苦しくなってしまいます。
だから、もっと先のゴールを思い描きたいんです。
- この子に、どんな人に育ってほしいかな
- 親に言われたから動く子、で終わってほしいのかな
- 自分で考えて、自分で選んで、自分の人生を歩んでいける人になってほしいのかな
「お利口さん」で終わることが、この子にとってのゴールなのかな。ゴールが変わると、子どもの見え方も変わってくるんです。
それに、自分のペースで前に進んでいる子の姿は、周りにも届きます。友だちが「じゃあ自分も頑張ろう」と思ってくれたり、「頑張れ」と声援を送ってくれたりするかもしれません。
毎日の慌ただしさの中では、うさぎたちが目まぐるしく目の前を走り抜けていきます。そんなときこそ「この子は、どんな子になってほしいんだったっけ」と、一度立ち止まって見直す。それだけで、また少し変わってくる気がします。
北風と亀の、似ているところと大きな違い
北風と亀には、共通点があります。どちらも、何かを動かそうとしていた、ということです。
ただ、北風は相手をうまく動かそうとしました。亀は自分が進もうとしました。ここに、大きな違いがあるんです。
私たちは苦しくなったときほど、「子どもが変われば」「夫が変われば」「職場が変われば」と思ってしまいがちですよね。私もそうなんです。
でも、第1の習慣「主体的である」は、相手を変えるための習慣ではなく、自分自身がどう行動できるかの習慣なんです。
- 北風になりそうなときは、太陽のように「どんな環境を作れるかな」と考える
- 隣のうさぎが気になったら、「違う違う」と亀を見る。「この子はどういう個性なんだっけ」と思い返す
- そのうえで、「どんな子に育ってほしいか」というゴールを思い描いて、自分の選択を決める
北風が吹きやすい日は、体の側も見てみる
栄養カウンセラーとしてご家族のお話を聞いていると、「何回言ったらわかるの」が出やすい日には、似た景色が重なっていることがあるんです。夕方の、お腹がすいている時間。寝不足が続いた週。朝ごはんをコーヒーだけで済ませた日。
心の持ち方の問題だと思っていたイライラに、体の余裕のなさが関わっていることもあるんですよね。
子どもの側も同じです。お腹がすいて、疲れて帰ってきた夕方。そこへ「宿題しなさい」と吹く風は、いつもより冷たく感じるのかもしれません。
主体的であるというのは、自分の言葉や表情を選ぶことでした。そのいちばん手前に、体を整えておくという選択もあるんです。帰ってきた子のおやつに、おにぎりやゆで卵を用意しておく。夕方の声かけの前に、まず自分がひと口食べておく。北風になりにくい土台は、台所からもつくれるんです。
ここまでできていれば、大丈夫です
- 「あ、北風が来た」と、言ったあとからでも気づけた
- よその子と比べたとき、「この子はこの子」と戻ってこられた
- 「どんな人に育ってほしいんだったっけ」と、一度思い出せた
- 強く言ってしまった日に、「また明日、亀の一歩から」と思えた
よくある質問
強く言うのは、いけないことですか?
いいえ、北風そのものが悪いというお話ではないんです。危ないこと、守ってほしい軸は、親としてはっきり伝えていいんです。見たいのは、その手前のところ。「この子を動かしたい」から言っているのか、「どんな環境なら自分から動けるかな」と考えたうえで言っているのか。そこが変わると、同じ言葉でも届き方が変わってきます。
よその子と比べてしまうのは、どうしたらいいですか?
比べてしまうのは、ごく自然なことなんです。私もあります。そんなときは、亀を思い出してみてください。亀はうさぎを見ていませんでした。「あの子はできるのに」と思ったら、「じゃあ、この子の次の一歩は何だろう」と、自分が影響を与えられるところへ戻る。それだけで、だいぶ軽くなります。
ゴールを思い描くって、将来の夢を決めることですか?
職業や進路を決めることではないんです。「どんな人に育ってほしいかな」という、もっと手前のところ。自分で考えて、自分で選んで、自分の人生を歩んでいける人になってほしい——そういう願いのことです。それが見えていると、目先の宿題や忘れ物への反応が、少し変わってきます。
結局、北風になってしまった日は、どうしたらいいですか?
その日のうちに気づけたなら、それでもう半分は選び直せているんです。「さっきは強く言いすぎたね、ごめんね」と伝えられたら十分。完璧な太陽でいる必要はなくて、また明日、亀の一歩から始めれば大丈夫なんです。
今日からできる、小さな一歩
番組の最後に、こんなことを話していました。
「あ、北風が来た」
「あ、今うさぎ現象が起きてる」
「私、今ちゃんと亀になってるかな」
童話のキャラクターを合言葉にしておくと、自分の状態に気づきやすくなるんです。
| 合言葉 | 気づくこと | 選び直す問い |
|---|---|---|
| 「北風が来た」 | 相手を動かそうと、強く吹いている | この子が自分から動ける環境は、何だろう |
| 「うさぎ現象」 | よその子と比べている | この子は、どんな個性だったっけ |
| 「私、今ちゃんと亀?」 | 目先の成果だけを見ている | この子に、どんな人に育ってほしいんだっけ |
気づけたら、それだけでもう半分くらい選び直せている気がします。
今日、「何回言ったらわかるの」が出そうになったら、心の中で「北風が来た」とつぶやいてみませんか。笑ってしまうくらいで、ちょうどいいんだと思います。
完璧な太陽でいる必要はないんです。北風になった日は、また明日、亀の一歩から。一緒に、ゆっくり進んでいきましょうね。
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この記事をお届けした人

ちあき(小森 千明)
元・特別支援学校教諭 | 栄養カウンセラー
── ライフコーディネーターとして、ご家族の食卓と、毎日の選択の隣にいます
特別支援学校の教員でした。教えていたのは、音楽です。言葉にならない声を、聞き取る仕事でした。その聞き取り方を、いちばん近いところで試されたのが、わが子の子育てです。
メロディーは、その人のもの。私が変えるのは、リズムのほう。
小児外科専門医のクリニックで、栄養カウンセリングを重ねてきました。いまも毎日、現場にいます。
弘前大学 教育学部 障害児教育課程卒。特別支援学校教諭一種免許(知的障害・肢体不自由・病弱)、中学校・高校 音楽教諭一種免許。オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)認定。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。
▼ 日々の気づきは、Xで
ちあき|こどもの栄養カウンセラー×3児の母🌱 @LifeCrescendoC
