子どものスキンシップの効果は?触れると心と体に起きること、親に返ってくること

栄養カウンセラー ちあきこの記事を書いた人
栄養カウンセラー ちあき
小児外科専門医 小森広嗣 監修

抱っこして、背中をトントン。寝る前に、頭をなでる。毎日あたりまえにしていることだけれど、「これって、子どもにとってどんな意味があるんだろう」と思ったこと、ありませんか。

先にお伝えすると、スキンシップには、子どもの「安心」と「人を信じる力」を育てる働きがあるんです。 そして、触れているお母さん・お父さんの側にも、ほっとする感覚が返ってきます。特別なことをしなくても大丈夫。1秒の積み重ねが、ちゃんと届いていきます。

この記事でわかること

  • スキンシップで、子どもの心と体に何が起きているか
  • 「ゆっくり」「手のひら全体で」触れるといい理由
  • 触れている親の側に返ってくるもの

スキンシップで、子どもの心には何が起きる?

「大切にされている」が、体に積もっていく

やさしく触れられると、体の中でオキシトシンというホルモンが出やすくなります。「きずなホルモン」と呼ばれることもあって、安心感や、人とのつながりに関わっていると考えられているんです。

ここで大事なのは、理屈ではなく、感覚として積もっていくということ。「あなたは大切だよ」と言葉で何度も言うより先に、抱っこや、背中に置かれた手のひらから、「自分は大切にされている」という感覚が、体にしみこんでいくんですよね。

人を信じる力の、最初の一歩になる

家族の中で「触れられて安心した」経験は、子どもが外の世界へ出ていくときの土台になります。家族から、園や学校のお友だち、先生、そして社会へ。少しずつ世界が広がっていくとき、「帰れば安心できる場所がある」「自分はここにいていい」という感覚が、新しい人と関わる勇気を支えてくれるんです。

そしてもうひとつ。人を信じる力の手前には、自分を大切に思える力があります。最近よく聞く「自己肯定感」も、小さな頃からの「大切にされた」の積み重ねの上に育っていくものなんですよね。

大切にされた感覚が、人を信じる土台になる。

気持ちが高ぶったとき、触れるとどうなる?

うちは3人きょうだいです。いちばん下の子は、本当は誰よりも甘えたいのに、どうしても関われる時間が少なくなってしまう。上の子が1人のときは24時間まるごと向き合えたのに、3人になると、その3分の1もない……というのが現実でした。

いちばん下の子は、やんちゃ極まりなくて(苦笑)。気持ちが爆発して「ちょっと待って、ちょっと待って!」という場面でも、手を止めて、目を合わせて「どうしたの?」と背中をさすると、すっと落ち着くんです。

そのとき子どもが受け取っているのは、「自分のことを見てもらえた」「ここに自分の居場所がある」という安心なんだと思います。叱って止めるより、触れて落ち着くほうが、親子どちらにとってもやさしい。そして、その安心は、少しずつ貯金されていくんですよね。

手を止めて、目を合わせて、さする。

皮膚と脳は、どうつながっている?

赤ちゃんがお母さんのおなかの中で育っていくとき、皮膚と脳は、もとは同じ層(外胚葉)から分かれてできていきます。皮膚が「外に出ている脳」とたとえられることがあるのは、そのためなんです。

脳はかたい頭の骨に守られていて、直接は触れられません。でも皮膚に触れると、その感覚は神経を通って脳に届きます。オムツがぬれて「冷たい」と泣く、くすぐられて笑う。赤ちゃんは、皮膚から世界を感じて、脳を育てているんですよね。

皮膚に触れることは、脳に話しかけること。

どうして「ゆっくり」なでるのがいいの?

肌には、ゆっくりやさしくなでられたときに、よく反応する神経があることが分かっています。研究では、1秒に数cmくらいのゆっくりした速さでなでたときに、この神経がよく働き、人はそれを「心地よい」と感じやすいことが報告されているんです(Löken ら、2009年)。

速くこするより、ゆっくりなでる。背中を「いーち、にーい、さーん」と数えるくらいの速さが、ちょうどいいんですね。

そして、子どもの皮膚は大人よりずっと薄く、骨や体のつくりもまだ育っている途中です。指先でぐいぐい押すより、手のひら全体で、包むように。大人には気持ちいい強さでも、子どもには強すぎることがあるので、軽めを心がけてくださいね。

ゆっくり、手のひら全体で、軽めに。

触れている親には、何が返ってくる?

親の気持ちも、ほっとする

オキシトシンは、触れられる側だけでなく、触れている側にも出やすいと考えられています。夕方、イライラしていたのに、子どもの背中をなでているうちに自分の呼吸がゆっくりになっていた——そんな経験はありませんか。スキンシップは、子どもを落ち着かせるだけでなく、親の心も落ち着かせてくれるんです。

小さな変化に、気づきやすくなる

毎朝「おはよう」と触れていると、「あれ、なんだか熱い?」「肌がザラザラしてるかも」と、いつもとの違いに気づきやすくなります。冬になると、ひざやひじ、わきの下のあたりがカサカサしてくる子もいますよね。触れることを重ねるうちに、親はいつのまにか「わが子のいちばんの専門家」になっていくんです。

お母さんも、触れてもらっていい

一日じゅう抱っこしているお母さんの肩は、がちがち。だから、お父さんやまわりの家族が、お母さんの肩や背中に触れてあげてほしいんです。触れてもらったお母さんが、また赤ちゃんに触れる。そうやって、ぬくもりがリレーしていきます。ひとりで頑張らなくて大丈夫ですよ。

触れる手にも、ぬくもりは返ってくる。

忙しくて、触れる時間がとれないときは?

毎日、決まった時間をつくらなくて大丈夫です。1秒でもいいから、目を合わせて、ちょっと触れる。 その「ちりつも」の連続が、かけがえのない安心になっていきます。

スマホを見ながらではなく、ほんの一瞬、手を止めて目を合わせる。それだけで、子どもには「見てもらえた」が伝わります。忙しい毎日の隙間でできる触れ方は、タッチケアって何?忙しい毎日の隙間でできる、親子の1分ふれあいにまとめています。

そして、子どもを育てるのは、親だけではありません。園や学校の先生、近所の人、おじいちゃん・おばあちゃん。まわりの大人が、目をかけ、声をかけ、時にそっと触れる——その積み重ねで、子どもは育っていくんですよね。

1秒の「目を合わせて、ちょっと触れる」から。

ここまでできていれば、大丈夫です

  • 1日に何度か、目を合わせて、子どもに触れる時間がある
  • なでるときは、ゆっくり、手のひら全体で、軽めに
  • 気持ちが高ぶったとき、叱る前に、一度さすってみたことがある
  • 毎朝のスキンシップで、熱や肌の変化に気づける
  • お母さん(お父さん)自身も、誰かに触れてもらえている

こんなときは、相談を

触れられることを強く嫌がる、服のタグや手をつなぐことも我慢できないほど感覚の過敏が強い、そのせいで毎日の暮らしに困っている。こういうときは、ひとりで抱えずに、園や学校の先生、地域の子育て相談、医療機関に相談してみてくださいね。その子に合った関わり方を、一緒に考えてもらえます。

そして、お母さん自身が、気持ちが沈んで眠れない、何をしても楽しくない日が続く、赤ちゃんをかわいいと思えなくてつらい——そんなときも、我慢しないでください。出産した病院や、地域の保健センターの保健師さんに話してみましょう。

よくある質問

スキンシップは、何歳まで続けていい?

何歳まででも大丈夫です。ただ、年齢とともに心地よい形は変わります。赤ちゃんは抱っこや背中をなでる、幼児は手遊び、小学生はハイタッチや肩もみの交換、思春期は肩にぽんと手を置くくらいの軽さで。その子が心地よい形を探していきましょう。

子どもが嫌がるときは?

無理に触れなくて大丈夫です。「触っていい?」と聞いて、「いや」と言ったら、その気持ちを大切に。触れないことも、相手を大切にするスキンシップです。目を合わせる、笑いかける、それだけでも気持ちは届きますよ。

抱っこしすぎると、甘えん坊になる?

抱っこで安心をためた子は、その安心を土台に、自分から外の世界へ出ていくと言われています。「抱き癖」を心配するより、いまの安心をたっぷり手渡してあげてくださいね。

スキンシップの効果に、研究の裏づけはある?

あります。ゆっくりなでられたときに心地よさを伝える神経の研究や、やさしい触れ合いとオキシトシンの研究が、たくさん報告されています。この記事の最後に、参考にした資料を載せました。

今日からできるワンアクション

今日は、ひとつだけ。

今日いちど、手を止めて、子どもと目を合わせて、背中を手のひらでゆっくり3回なでてみませんか。

言葉はなくても大丈夫。その1秒が、子どもの中に「大切にされている」を、ひとつ積もらせていきます。そして、なでているあなたの心も、少しゆるむはずです。

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LifeCrescendo が目指しているのは、困りごとが消えることだけではありません。栄養で体と心の土台を整え、その先で、子どもとご家族が「楽しく生き続ける」ところまで、一緒に歩むこと。いまの困りごとから、1つ、2つずつで大丈夫です。(私たちが大切にしていること)

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参考にした資料

この記事をお届けした人

栄養カウンセラー ちあき

ちあき(小森 千明)
元・特別支援学校教諭 | 栄養カウンセラー
── ライフコーディネーターとして、ご家族の食卓と、毎日の選択の隣にいます

特別支援学校の教員でした。教えていたのは、音楽です。言葉にならない声を、聞き取る仕事でした。その聞き取り方を、いちばん近いところで試されたのが、わが子の子育てです。

メロディーは、その人のもの。私が変えるのは、リズムのほう。

小児外科専門医のクリニックで、栄養カウンセリングを重ねてきました。いまも毎日、現場にいます。

弘前大学 教育学部 障害児教育課程卒。特別支援学校教諭一種免許(知的障害・肢体不自由・病弱)、中学校・高校 音楽教諭一種免許。オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)認定。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。

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ちあき|こどもの栄養カウンセラー×3児の母🌱 @LifeCrescendoC