この記事を書いた人
栄養カウンセラー ちあき
小児外科専門医 小森広嗣 監修
お皿のすみに、きれいによけられたピーマン。おひたしは、ひと口も手がつかないまま。
「ひと口だけでも食べてみたら?」と言うと、首をぶんぶん横に振る。食べたこともないのに「きらい」。そんな食卓に、つい肩が落ちてしまう日もありますよね。
先にお伝えすると、新しい食べ物や苦手な野菜にいちばん効くのは、大人が「おいしい」と言いながら食べている姿を、見てもらうことなんです。 そのうえで、好きなものに混ぜて、食べられたら良いところを伝える。「食べさせる」より「見せる」と「伝える」——今日はその順番のお話なんです。
この記事でわかること
- 子どもが野菜を「食べたこともないのに嫌い」になる理由
- いちばん効く「見せる・混ぜる・伝える」の順番
- 野菜を食べない日の「代わり」と、食べないと何が足りなくなるか
どうして、食べたこともないのに「きらい」なの?
初めて見る食べ物を警戒するのは、子どもにとって、とても自然なことなんです。特に幼児期には、見慣れないもの・苦いもの・色の濃い野菜を、口に入れる前から避ける時期があるといわれています。体を守るための、もともとの用心深さなんですね。
ピーマンの苦み、ほうれん草のえぐみ。大人には「味わい」でも、子どもの舌にはずっと強く感じられます。だから、「きらい」は、わがままではなく、「まだ安心できていない」という意味のことが多いんです。
安心は、何度も出会ううちに少しずつ育ちます。見る、においをかぐ、触る、ちょっとなめる。その積み重ねの先に、「食べてみようかな」がやってくるんです。
「きらい」は、「まだ安心できていない」のサイン。
いちばん効くのは、どんなこと?
大人が「おいしい」と言いながら、自分で食べている姿を見てもらうこと。 これが、いちばんなんです。
子どもは、言われたことより、見たことを真似します。「食べなさい」と10回言うより、大人が「このピーマン、甘くておいしいね」と、本当においしそうにひと口食べるほうが、ずっと届くんですよね。
ポイントは、子どもに勧めないこと。自分のお皿から、自分が食べて、自分が「おいしい」と言う。それだけです。子どもが「ちょっとちょうだい」と言ってきたら、それが一歩目。言ってこなくても、その日、食卓の空気は「ピーマン=おいしいもの」になっています。
「食べなさい」より、「おいしい」と食べて見せる。
混ぜて食べさせるのは、ずるいこと?
ずるくないんです。好きなものに混ぜるのは、立派な入口なんです。
ピーマン
- 細かく刻んで、ハンバーグ、ミートソース、炒飯、カレーに
- 苦みは、加熱したり、細く切ったりすると、やわらぎやすいといわれています
- 肉詰めにすると、お肉のうま味で食べやすくなります
ほうれん草
- ゆでて細かく刻むか、ペーストにして、卵焼き、ハンバーグ、カレー、パンケーキに
- アク(えぐみ)は、ゆでて水にさらすとやわらぎます
- ごまやかつお節、バターと合わせると、ぐっと食べやすくなります
ただ、大事なのはここからなんです。こっそり食べさせて終わりにしない。 食べられたら、
「今日のハンバーグ、実はピーマンが入ってたんだよ。食べられたね」
と伝えてあげてください。そして、その食べ物の良いところをひとこと。
「ピーマンには、かぜに負けない体をつくるビタミンが入ってるんだよ」
「ほうれん草は、元気に走れる体の材料になるんだって」
「だまされた」ではなく、「ぼく、ピーマン食べられたんだ」という小さな自信に変わる。混ぜるのは入口、伝えるのが本番なんです。
混ぜるのは入口。食べられたら「入ってたよ」と良いところを伝える。
それでも食べないときは、どうしたらいい?
- 毎回、少しだけ並べ続ける。食べなくても、食卓にあることに慣れていきます。お皿のすみに、ひと切れでいいんです
- 一緒に触れる。スーパーで選ぶ、洗う、ちぎる、混ぜる。自分で手をかけた野菜は、少しだけ身近になります
- 比べない・叱らない。「お兄ちゃんは食べるのに」は、そっと横に置いて。食卓での声かけは、こちらの記事でくわしくお話ししています
- 体の材料は、ほかの道からも。野菜が進まない時期は、果物、海藻、汁物の具、きのこなど、食べられるものから入れていけば大丈夫です
食べなくても、並べ続ける。それも一歩。
ここまでできていれば、大丈夫です
- いまの食卓に、たんぱく質・ビタミンとミネラルが、そこそこ入っている(炭水化物だけになっていない)
- 大人が、苦手な野菜を「おいしい」と言って食べる姿を見せている
- 好きなものに混ぜた日に、「入ってたよ」と伝えられた
- 食べなかった日も、お皿のすみにひと切れ並べている
- 「きらい」を、わがままではなく「まだ安心できていない」と受け止められている
野菜を食べない日の「代わり」早見表
野菜が入らない日も、野菜が届けてくれる栄養は、ほかの食べ物で少しずつ補えます。
| 野菜が届けてくれるもの | 代わりになる食べ物の例 |
|---|---|
| ビタミンC | みかん・いちご・キウイなどの果物、じゃがいも |
| 食物繊維 | きのこ・海藻・豆・さつまいも・納豆・玄米や雑穀ごはん |
| ミネラル(カリウム・マグネシウムなど) | いも類・豆・海藻・バナナ |
| いろいろな栄養をまとめて | 具だくさんのお味噌汁・スープ(野菜を細かく刻んで溶かし込む) |
よくある質問
子どもが野菜を食べないと、どうなる?
すぐに体を壊すわけではありませんが、食物繊維が足りずにうんちが硬くなりやすかったり、ビタミンやミネラルが少しずつ不足しやすくなったりします。まずは果物・きのこ・海藻・いも・豆など、食べられる「代わり」から届けていきましょう。
野菜ジュースやサプリで代わりになる?
野菜ジュースは、食べられない日の助けとしては使えます。ただ、食物繊維は少なめで、甘さが強いものもあるので、毎日の主役にはしないのがおすすめです。サプリを自己判断で足すより、まずは食卓の「代わり」を増やしてみてください。
小学生になっても野菜を食べないのは、心配?
小学生でも、苦手な野菜があるのはよくあることです。給食で少しずつ食べられていて、元気に成長していれば、焦らなくて大丈夫。好きなものに混ぜる、一緒に育てる・料理するなど、「見る・触る」の回数を増やしていきましょう。
こんなときは、医療機関で相談を
食卓の工夫より先に、相談していただきたいサインもあります。食べられるものの種類がどんどん減っていく、体重が減ってきている、新しい食べ物を見るだけで強いパニックになる、食べ物がのどにつかえて吐いてしまう。 こういうときは、ご家庭だけで抱えずに、医療機関で相談しましょうね。
今日からできるワンアクション
今日は、ひとつだけ。
今夜のごはんで、子どもが苦手な野菜をひとつ、大人が「おいしい」と言いながら、自分のお皿から食べてみませんか。
子どもに勧めなくていいんです。見てもらうだけ。それを、何日か続けてみてください。ある日、「それ、ちょっとちょうだい」と言われたら——その日は、食卓の小さなお祝いの日なんですよね。
完璧じゃなくて大丈夫。ちりつもで、一緒にやっていきましょうね。
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LifeCrescendo が目指しているのは、困りごとが消えることだけではありません。栄養で体と心の土台を整え、その先で、子どもとご家族が「楽しく生き続ける」ところまで、一緒に歩むこと。いまの困りごとから、1つ、2つずつで大丈夫です。(私たちが大切にしていること)
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※ ここでお渡しするのは、家庭での教育と実践のサポートです。診断や治療は、医療機関の役割です。
この記事をお届けした人

ちあき(小森 千明)
元・特別支援学校教諭 | 栄養カウンセラー
── ライフコーディネーターとして、ご家族の食卓と、毎日の選択の隣にいます
特別支援学校の教員でした。教えていたのは、音楽です。言葉にならない声を、聞き取る仕事でした。その聞き取り方を、いちばん近いところで試されたのが、わが子の子育てです。
メロディーは、その人のもの。私が変えるのは、リズムのほう。
小児外科専門医のクリニックで、栄養カウンセリングを重ねてきました。いまも毎日、現場にいます。
弘前大学 教育学部 障害児教育課程卒。特別支援学校教諭一種免許(知的障害・肢体不自由・病弱)、中学校・高校 音楽教諭一種免許。オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)認定。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。
▼ 日々の気づきは、Xで
ちあき|こどもの栄養カウンセラー×3児の母🌱 @LifeCrescendoC
