この記事を書いた人
栄養カウンセラー ちあき
小児外科専門医 小森広嗣 監修
毎日、納豆ごはん。お昼も夜も、できれば唐揚げ。野菜は、きゅうりだけ。
「こんなに偏っていて、大丈夫なのかな」——好きなものばかり食べる子を前に、そう思ったことはありませんか。栄養のことを調べれば調べるほど、「バランスよく」「いろいろな食材を」という言葉が並んでいて、かえって気持ちが重くなる。
先にお伝えすると、偏食は、いけないことではないんです。 見るのは3つだけ。たんぱく質が入っているか、ビタミンとミネラルが入っているか、炭水化物だけになっていないか。 いまの「ブーム」がこの3つでそこそこ良ければ、しばらくはそれで大丈夫。次のブームは、ゆっくり見つけていけばいいんです。
「バランスよく」が、どうして続かないの?
栄養のアドバイスを聞いたお母さんたちから、よく聞く言葉があります。
「知っていることばかりなんです。でも、できない。だって、うちの子は食べないし、作るのも大変だから」
本当に、そのとおりなんですよね。「バランスよく」も「いろいろな食材を」も、正しい。でも、食べない子を前にすると、正しいことほど遠く感じます。毎食、品数をそろえて、残されて、片づけて。がんばるほど、親が先に疲れてしまうんです。
だから、少し見方を変えてみませんか。「全部を食べさせる」から、「いま食べているものの中身を見る」へ。
正しいことほど、食べない子の前では遠くなる。
偏食は、本当にいけないことなの?
小児外科医の夫が、よくこう言うんです。
「誰にだって好き嫌いはあるし、傾向もあるよね。肉が好きな人、魚が好きな人。偏食そのものが、いけないわけじゃないんだよ」
大人だって、好きなものが続く時期がありますよね。子どもにも、それがもっとはっきり出るだけなんです。
もちろん、いろいろなものを食べられるのが理想です。でも、それは「いつか食べられればいいよね」くらいの、ゆったりした構えでいい。いま大事なのは、偏りをなくすことより、偏りの中身が、体の土台になっているかなんです。
直す前に、中身を見る。
見るのは、どの3つ?
いまの食卓を、この3つの目でだけ見てみてください。
① たんぱく質は入っている?
肉・魚・卵・大豆(納豆・豆腐)・牛乳・チーズ。体と心をつくる材料なので、いちばん先に見るところなんです。
② ビタミン・ミネラルは入っている?
野菜・果物・海藻・きのこ・ごま・小魚・赤身の肉や魚。体を動かす「部品」です。野菜がだめでも、ほかの道があります。
③ 炭水化物だけになっていない?
ごはん・パン・麺だけの日が続いていないか。白いものだけになっていたら、何かを「くっつける」合図です。
たとえば、冒頭の「納豆ごはん・唐揚げ・きゅうり」のブーム。
- ① 納豆と唐揚げで、たんぱく質は ⭕️
- ② きゅうりと納豆で、ビタミン・ミネラルも少しは ⭕️(海苔やごまを足せたら、もっと良い)
- ③ ごはんだけではない ⭕️
これなら、そこそこ良いんです。しばらくは、このブームで行ってみて大丈夫。
一方で、「毎日ラーメンだけ」なら、③ が気になります。そのときは、麺を取り上げるのではなく、ブームの中に足す。卵を落とす、チャーシューを一枚、のりを一枚。ブームはそのままに、中身を少し厚くするんです。
たんぱく質・ビタミンとミネラル・炭水化物だけになっていないか。この3つだけ見る。
「ブーム」と、どう付き合う?
子どもの食べ方には、波があります。ある時期は唐揚げ、ある時期は納豆、ある時期はカレー。それを、「ブーム」と呼んでみるんです。
- いまのブームを見つける。この1〜2週間、何をよく食べているか
- 3つの目で見る。たんぱく質・ビタミンとミネラル・炭水化物だけになっていないか
- そこそこ良ければ、しばらくそれで行く。足りないところは、ブームの中に足す
- 次のブームを、似ているところから探す。唐揚げが好きなら、鶏の照り焼き、白身魚のフライ。カレーが好きなら、カレー味の野菜炒め、カレー風味のスープ。好きなものの「となり」に、次のブームが隠れていることが多いんです
ブームが移るたびに、食べられるものが一つ、また一つと増えていく。食べる力は、そうやって少しずつ育っていくんですよね。
次のブームは、いまのブームの「となり」にある。
同じものばかりで、本当に大丈夫?
栄養の目で見ると、同じものばかりを長く続けるより、少しずつ入れ替えていく(ローテーションする)ほうが安心です。同じものばかりだと、入ってくる栄養も、体にかかる負担も、偏りやすいからです。
でも、それも長い目ででいいんです。今週・今月で入れ替えようとしなくて大丈夫。ブームが移っていけば、自然とローテーションになっていきます。焦って次を押しつけると、せっかくのブームまで終わってしまうことがあるんですよね。
ローテーションは、長い目で。ブームが移れば、自然に回る。
ここまでできていれば、大丈夫です
- いまの食卓に、たんぱく質・ビタミンとミネラルが、そこそこ入っている(炭水化物だけになっていない)
- いまの「ブーム」が何か、言える
- 足りないところを、ブームを取り上げずに「中に足す」ことができた日がある
- 「いつか食べられればいいよね」と、少しだけ思えている
こんなときは、医療機関で相談を
「偏食はいけないことではない」は、3つの目で見ていることが前提です。次のようなサインがあるときは、ご家庭で様子を見ずに、医療機関で相談しましょうね。体重が減ってきている、食べられるものの種類がどんどん減っていく、食べ物がのどにつかえて吐いてしまう、食事のたびに強いパニックになる。
「いま偏っているけど、これでいいのかな」と思ったら

3つの目で見てみても、「うちの子のいまのブーム、そこそこ良いのかな?」と迷うことがあると思います。それは、読んでもなかなか分からないところなんですよね。その子の好み、体の様子、ご家庭の毎日——見るものが、一人ひとり違うからです。
そんなときは、ひとりで抱えずに、相談していただけたらうれしいんです。「いま偏っているけど、これでいいのかな」。その問いを一緒に見立てるのも、心と体の栄養カウンセリングの大切な役目のひとつです。
今日からできるワンアクション
今日は、ひとつだけ。
この1週間で、お子さんがよく食べたものを3つ、スマホのメモに書き出してみませんか。 それが、いまの「ブーム」です。
そして、3つの目で、丸をつけてみてください。たんぱく質は?ビタミン・ミネラルは?炭水化物だけになっていない? 丸が2つ以上なら、そこそこ良いんです。そのまま、しばらく行ってみましょう。
偏食は、子どもが「いまの自分に合う食べ方」を探している途中の姿なのかもしれません。その途中を、責めずに、見守りながら、少しずつ足していく。完璧じゃなくて大丈夫。ちりつもで、一緒にやっていきましょうね。
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※ ここでお渡しするのは、家庭での教育と実践のサポートです。診断や治療は、医療機関の役割です。
この記事をお届けした人

ちあき(小森 千明)
元・特別支援学校教諭 | 栄養カウンセラー
── ライフコーディネーターとして、ご家族の食卓と、毎日の選択の隣にいます
特別支援学校の教員でした。教えていたのは、音楽です。言葉にならない声を、聞き取る仕事でした。その聞き取り方を、いちばん近いところで試されたのが、わが子の子育てです。
メロディーは、その人のもの。私が変えるのは、リズムのほう。
小児外科専門医のクリニックで、栄養カウンセリングを重ねてきました。いまも毎日、現場にいます。
弘前大学 教育学部 障害児教育課程卒。特別支援学校教諭一種免許(知的障害・肢体不自由・病弱)、中学校・高校 音楽教諭一種免許。オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)認定。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。
▼ 日々の気づきは、Xで
ちあき|こどもの栄養カウンセラー×3児の母🌱 @LifeCrescendoC
