この記事を書いた人
栄養カウンセラー ちあき
小児外科専門医 小森広嗣 監修
さっきまで笑っていたのに、靴下が片方見つからないだけで、床に寝転んで大泣き。なだめても、叱っても、止まらない。
わが家の次男も、そんな子でした。天国と地獄を行ったり来たりするので、私はひそかに「人間ジェットコースターくん」と呼んでいたほどです。そして毎晩、「私の育て方が悪いのかな」と、ひとりで反省会をしていました。
先にお伝えすると、子どものかんしゃくは、性格や愛情の問題だけではなく、体の土台からの合図のこともあるんです。 だから、心にいきなり手を入れる前に、食事から体へ、体から心へ——下から順番に整えていく。それが、わが家でいちばん効いた道すじでした。
かんしゃくは、どこから来るの?
かんしゃくには、いくつもの理由が重なっています。眠い、お腹が空いた、思いどおりにいかない、言葉で気持ちを言えない。成長のなかで、誰にでもある姿です。
でも、同じことが起きても、大爆発する日と、ちょっと泣いて終わる日がありますよね。その差をつくっているのが、体の土台——お腹が満たされているか、エネルギーが安定しているか、眠れているか——なんです。
心は、体の上に乗っています。土台がぐらぐらしていると、ちょっとした揺れで、心が大きく傾いてしまうんですよね。
心は、体の上に乗っている。
① 食事:エネルギーの波を、なだらかに
わが家の次男が荒れやすかったのは、朝ごはんの30分〜1時間後でした。パンと甘いものの朝。エネルギーがぐんと上がって、すとんと下がる——その「すとん」のときに、体は慌てて、イライラや不安のスイッチが入りやすくなるんです。
そこで私が始めたのは、おやつを変えることでした。甘いパンやお菓子のかわりに、ゆでたささみ、野菜スティックとお味噌、そして「おやつ納豆」。たんぱく質は、じんわり長く燃える薪のようなもの。エネルギーの波がなだらかになると、気持ちの波も少しずつ穏やかになっていきました。
- 甘いものだけのおやつを、続けない(チーズや卵など、たんぱく質の相棒と一緒に)
- 長い空腹をつくらない(学校から帰ったら、おにぎりや卵を)
- 朝ごはんに、たんぱく質をひとつ
甘いものだけの日を減らし、たんぱく質の相棒を。
② 体:材料は、足りている?
イライラしやすい、疲れやすい、顔色がさえない——そんな子は、体をつくる材料が足りていないこともあります。たんぱく質や鉄は、元気のもとをつくるだけでなく、気持ちを安定させる働きにも関わっているんです。
偏食がある子も、大丈夫。いま好きなもの(ブーム)の中に、たんぱく質と、ビタミン・ミネラルがそこそこ入っていれば、まずはそれで十分です。
材料が足りると、心の踏ん張りがききやすい。
③ 眠りとお腹:見えない土台を、ととのえる
眠りが足りないと、大人でも怒りっぽくなりますよね。子どもはなおさらです。寝る前の画面と甘いものを少し控え、朝はカーテンを開けて光を浴びる。それだけで、翌日の機嫌が変わることがあります。
そして、お腹。お腹と脳は、見えない糸でいつもおしゃべりをしているといわれています。お腹の調子がよくない日は、心もざわざわしやすいんです。うんちの様子も、ときどき見てあげてくださいね。
眠りとお腹は、心のいちばん下の土台。
④ 心:その場では、どう声をかける?
土台を整えるのは、毎日の積み重ね。でも、目の前でかんしゃくが起きているときは、どうしたらいいでしょう。
- まず、安全を確保して、そばにいる。言葉で説得するより、落ち着くまで待つ
- 背中をさする、手を握る。肌にふれると、「大丈夫だよ」が言葉より早く届くことがあります
- 落ち着いてから、気持ちに名前をつける。「くやしかったね」「かなしかったね」
- お腹が空いていないか、眠くないかを見る。かんしゃくの「下」に、体の理由が隠れていることがあります
叱らなくて大丈夫です。かんしゃくを起こしている子は、いちばん困っている子なんですよね。
その場では、待つ・ふれる・名前をつける。
ここまでできていれば、大丈夫です
- いまの食卓に、たんぱく質・ビタミンとミネラルが、そこそこ入っている(炭水化物だけになっていない)
- かんしゃくが起きやすい時間帯(空腹・眠い時間)に、だいたい見当がついている
- その場では、叱るより「待つ・ふれる」ができる日が増えた
- かんしゃくを、性格や育て方のせいだけにしなくなった
こんなときは、医療機関や相談先へ
かんしゃくの中には、ご家庭だけで抱えないほうがよいものもあります。自分や人を強く傷つけてしまう、かんしゃくが毎日長時間続いて家族が疲れ切っている、言葉や発達の面で気になることがある、急に様子が変わった、眠りがとても浅い・いびきがひどい。 こういうときは、医療機関や、地域の子育て・発達の相談窓口に相談しましょうね。相談することは、甘えではなく、子どもを守る大切な一歩です。
今日からできるワンアクション
今日は、ひとつだけ。
この1週間、かんしゃくが起きた「時間」を、スマホのメモに書いてみませんか。
朝ごはんのあと? 夕方の空腹どき? 寝る前? 時間を並べてみると、心の前に、体の理由が見えてくることがあります。わが家の「人間ジェットコースターくん」も、そこから少しずつ、穏やかな凪の日が増えていきました。完璧じゃなくて大丈夫。ちりつもで、一緒にやっていきましょうね。
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この記事をお届けした人

ちあき(小森 千明)
元・特別支援学校教諭 | 栄養カウンセラー
── ライフコーディネーターとして、ご家族の食卓と、毎日の選択の隣にいます
特別支援学校の教員でした。教えていたのは、音楽です。言葉にならない声を、聞き取る仕事でした。その聞き取り方を、いちばん近いところで試されたのが、わが子の子育てです。
メロディーは、その人のもの。私が変えるのは、リズムのほう。
小児外科専門医のクリニックで、栄養カウンセリングを重ねてきました。いまも毎日、現場にいます。
弘前大学 教育学部 障害児教育課程卒。特別支援学校教諭一種免許(知的障害・肢体不自由・病弱)、中学校・高校 音楽教諭一種免許。オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)認定。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。
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ちあき|こどもの栄養カウンセラー×3児の母🌱 @LifeCrescendoC
