この記事を書いた人
栄養カウンセラー ちあき
小児外科専門医 小森広嗣 監修
この記事でわかること
- 夫婦で子育ての意見が違うことが、子どもにとって良いこともある理由
- 親の何気ない一言が、子どもの「前提」をつくること
- 「何もなくても話す」夫婦の時間のつくり方
夫婦で子育ての意見が食い違って、気まずくなった夜
こんにちは、栄養カウンセラーのちあきです。
「今のは言いすぎじゃない?」「いや、あそこで言わないと分からないでしょ」。子どもへの声のかけ方をめぐって、夫と意見が食い違って、なんとなく気まずいまま夜を迎える。そんな経験、ありませんか。私は、あります。何度も。
そのたびに「夫婦で足並みを揃えなきゃ、子どもが混乱するよね」と、ひとりで反省会をしていました。でも先日、その思い込みが、いい意味でひっくり返る出来事があったんです。
Podcast『愛でいっぱいまるまるタッチ』が、おかげさまでこのたび200回を迎えました。記念すべきこの回を含む全3回、小谷(おだに)修平さん・みゆきさんご夫妻をゲストにお迎えしています。修平さんは24時間走の元日本代表というウルトラランナーで、分子栄養学に基づいたランナー向けのサプリメント開発もされている方。みゆきさんは、自然の中で子どもを育てる「森のようちえん」を運営されている方です。
最終回となる第3回のテーマは、「子どもの可能性を育む環境とは」。ご夫妻そろってのお話でした。
その中で、私が一番「あっ」と声が出そうになった話があります。それは、夫婦で子育ての意見が違うことは、子どもにとっては良いこと、というお話だったんです。冒頭の私の「反省会」が、まるごと不要だったのかもしれない——そう思わせてくれる一言でした。
「正解が一つではない」を、子どもは両親を見て学んでいる
みゆきさんは、ご自身と修平さんの子育てのスタイルの違いを、こんなふうに話してくださいました。
夫の修平さんは、子どもが「今どうしたいと思っているのか」を天性的に汲み取るのが得意なタイプ。一方でみゆきさんは、「私はこう思っている」と自分の気持ちをはっきり伝えるタイプ。だから、同じ場面でも「今、この子に何を伝えるべきか」の判断が、お二人で違うことが多いのだそうです。
そんなお二人が、ある方から言われた言葉。
「夫婦で、その時に何がベストかと思うことが違っている方が、当事者にとっては大変だけど、子どもにとってはすごくいいことだ」
理由は、こうです。
正解が一つではない、ということを、子どもはその場面を見て学んでいくから。
お父さんの正解Aがあって、お母さんの正解Bがある。その両方を見て育った子は、やがて自分で「正解C」を作ることができる。
みゆきさんご夫妻は、どちらも自分の考えを引っ込めません。「お母さんはこう思うからこうしたんだよ」「お父さんはこう思うからこうしたんだよ」と、それぞれの理由まで子どもに伝えていく。当事者としては、正直しんどい。でも、その理由が腑に落ちたから「これでいいんだ」と思いながら子育てをしている、とおっしゃっていました。
私はこの話を聞きながら、「夫婦で意見を揃えなきゃ」と思い込んでいた自分に気づいたんです。
親の何気ない一言が、子どもの「前提」を作っていく
もうひとつ、修平さんのお話も忘れられません。
たとえば、子どもが悪いことをして大泣きしている。この時、親がどう対応するかが、子どもの「前提」を形作るというんですね。
そこで「静かにしなさい」と言ったとします。子どもは「大きい声で泣いたらダメなんだ」と受け取る。すると、自分の感情を押し殺すようになるかもしれない。さらに、その子が大きくなった時、泣いている人・騒いでいる人に対して「うるさい」と言うようになるかもしれない。
かといって、黙って見過ごしていたらどうなるか。今度は「泣いている子に声をかけなくていいんだ」と解釈するかもしれない。
つまり、どちらを選んでも、何かが子どもの中に残る。修平さんは、そのいろんな選択肢を想像しながら、意図的に言葉を選んでいるのだそうです。
「何気なく取った行動が、その後、子どもにどう影響していくか。その積み重ねが、その子の人生を作っていくような気がするので」
この考え方は、スポーツのパフォーマンスを上げるために読み込んできた習慣形成の本やコーチングの理論から、ご自身の中で体系づけられたものだとお話しくださいました。
……と、ここで白状します。
私、子どもが泣き出すと、まず自分がパニックになるんです。「え、なんで今ここで泣くの」って。その場を収めたい一心で、思ってもいない言葉がポロッと出てしまう。「ちょっと、泣かないで」って。
つい先日もやってしまって、いまだに反省しながら過ごしております。
でも、だからこそ思うんです。要(かなめ)は、親が「正しい言葉」を暗記することじゃないんですよね。この一言は、長い目で見てどうなんだろうと、自分の中にほんの少しスペースを置けるかどうか。そこなんだなと。
「何もなくても話す」が、夫婦のちりつも
では、意見が違う二人が、どうやってお互いを尊重し合えているのか。
コツを伺うと、修平さんの答えはとてもシンプルでした。
「2人で話せる時間を、定期的に持てるようにする。それを優先的にスケジュールする」
子どもが生まれると、夫婦でゆっくり話すことが本当に難しくなりますよね。話は中断されるし、核心にたどり着く前に別の用事が入る。同じ世代の子を育てているご家庭には、あるあるだと思います。
みゆきさんは、こう続けてくださいました。過去にはお二人も、同じ出来事を見ていたはずなのに捉え方が全然違っていて、それがすれ違いになってギクシャクした時期があったそうです。それを何度も繰り返す中で、気づいた。
最初は「何かあった時に話し合う」だったのが、今は何もなくても話すへ。「今週1週間をどう感じていたか」をシェアするだけで、理解が誤解にならずに、深まっていく。
これって、まさに「ちりつも」だなと思いました。
小さな誤解が積もって大きくなるのか。小さな理解が積もって大きな信頼になるのか。その分岐点は、何か問題が起きてからではなく、何も起きていない普段の時間の中にあるんですね。
人って、放っておくと進路が少しずつ外れていくものだと思うんです。何もない時に「私たち、こっちだよね」と確認し合える時間を持っていること。それが、子どもにとっての安心安全な家庭の土台になっているのだと感じました。
今日からできるワンアクション
意見を揃えなくて、いいんですね。
揃えることより、それぞれの理由をきちんと言葉にして子どもに見せること。そして、何もない日にこそ、5分でも夫婦で話す時間を持つこと。
今夜、子どもが寝たあとに「そういえば、今週どうだった?」とだけ聞いてみる。それくらいの、ゆるい一歩から一緒に始めてみませんか。
200回という節目に、こんなに温かいお話を届けてくださった小谷ご夫妻に、心から感謝しています。そして、ここまで番組を聴き続けてくださった皆さまに、本当にありがとうございます。201回目からも、コツコツ続けてまいりますね。
「2人で話す時間」、どうやって作る?
修平さんの「定期的に2人で話す時間をスケジュールする」。素敵なお話でしたが、「その時間がないから困ってるんだよ〜」と思った方もいるかもしれません(私もです・笑)。
だから、大きなまとまった時間を取ろうとしなくて大丈夫。わが家でもできそうな、小さなすき間を挙げてみますね。
- こどもが寝たあとの10分。「今週どうだった?」と一言だけ。
- 週末の朝、コーヒーを1杯飲む間だけ。
- 送り迎えや買い物の車の中。前を向いたまま話せるので、意外と本音が出ます。
大事なのは、中身の濃さより「何もなくても話す」を続けること。小さな理解が積もって、大きな信頼になっていくんですよね。
今回のゲスト・小谷(おだに)ご夫妻のこと
200回記念シリーズにご登場いただいた小谷ご夫妻を、あらためてご紹介します。
小谷みゆきさん — 自然の中でのびのびと子どもを育てる「森のようちえん」を運営されています。幼児期の自然体験や、子どもの主体性を育む環境づくりに取り組んでいらっしゃる方です。
小谷修平さん — 24時間走世界選手権の元日本代表ウルトラランナー。ご自身の経験を活かして、分子栄養学にもとづいたランナー向けサプリメントの開発や運動指導、スポーツ科学の発信をされています。
合わせて読みたい
▼ 200回記念シリーズを、はじめから
- 【第1回】「うちの子は運動が苦手」は本当?子どもの可能性にフタをしない親の関わり方(ご主人・修平さんのお話)
- 【第2回】森のようちえんとは?自然が育てる子どもの力と、お母さんの「第3の選択肢」(奥さま・みゆきさんのお話)
▼ 今日のテーマをもっと深く
LifeCrescendo が目指しているのは、困りごとが消えることだけではありません。栄養で体と心の土台を整え、その先で、子どもとご家族が「楽しく生き続ける」ところまで、一緒に歩むこと。いまの困りごとから、1つ、2つずつで大丈夫です。(私たちが大切にしていること)
栄養カウンセラーのちあきが、家庭で続ける心と体の栄養のヒントを、LifeCrescendo の公式LINEでお届けしています。
この記事をお届けした人

ちあき
心と体の栄養カウンセラー | ライフクレッシェンド株式会社 代表
── ライフコーディネーターとして、ご家族の食卓と、毎日の選択の隣にいます
特別支援学校の教員でした。教えていたのは、音楽です。言葉にならない声を、聞き取る仕事でした。その聞き取り方を、いちばん近いところで試されたのが、わが子の子育てです。わが子の発達に悩み、「私の愛し方が足りないのだろうか」と自分を責めた日々もありました。転機は、体の土台を整える「栄養」でした。
メロディーは、その人のもの。私が変えるのは、リズムのほう。
小児外科専門医のクリニックで、子どもと家族の栄養カウンセリングを重ねてきました。いまも毎日、現場にいます。2019年の秋からは、地域の親子ひろばなどで、ベビーマッサージ・タッチケアの教室も開いています。
弘前大学 教育学部 障害児教育課程卒。特別支援学校教諭一種免許(知的障害・肢体不自由・病弱)、中学校・高校 音楽教諭一種免許。オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)認定。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。
▼ 日々の気づきは、Xで
ちあき|こどもの栄養カウンセラー×3児の母🌱 @LifeCrescendoC
