興奮が止まらない子どもを落ち着かせるには?注意するより「テンポ」を変える——特別支援学校の教員だった私が見た、始業式の日のこと

栄養カウンセラー ちあきこの記事を書いた人
栄養カウンセラー ちあき
小児外科専門医 小森広嗣 監修

声をかけても、かけても、興奮が止まらない。走り回る、大きな声を出す、寝る時間なのにテンションが上がりっぱなし。「落ち着きなさい!」と言うほど、かえってヒートアップしてしまうこと、ありますよね。

先にお伝えすると、そんなときは、注意するよりも「テンポ」を変えるほうが届くことがあるんです。 私がそれを知ったのは、特別支援学校で音楽を教えていたころ、ある始業式の日のことでした。

この記事でわかること

  • 興奮が止まらないとき、子どもの中で起きていること
  • 注意する代わりに、「テンポ」を変えるという方法
  • 家庭でできる、テンポの落とし方5つ

始業式の日、校歌をゆっくり弾いた

私は結婚する前、特別支援学校の教員をしていました。教えていたのは、音楽です。

ある始業式の日のこと。興奮が収まらなくなった生徒がいました。誰が声をかけても、止まりません。

そのとき私がしたのは、注意することではありませんでした。ピアノで校歌を、いつもの1.5倍くらいゆっくりのテンポで弾いたんです。

そのゆっくりのテンポに合わせて、体を動かしているうちに、その子は少しずつ、落ち着いていきました。

環境を、ほんの少し変えてあげる。それだけで、本人はリラックスして、むしろその場を楽しめるようになる——。あの日のことは、いまも私の原点のひとつです。

止めようとするより、テンポを変える。

大きなエンジンに、小さな体

興奮が止まらない子を見ていると、私はいつも、「大きなエンジンを積んで生まれたのに、体がまだ小さいんだな」と感じます。出力を持て余して、実はいちばん困っているのは、本人なんですよね。

エネルギーが外に出ると、走り回る、声が大きくなるといった形になり、「扱いにくい」と言われがちです。反対に、内にこもる子もいます。外に音が出ていないだけで、エンジンの大きさは同じ。出口が違うだけなんです。

だから、エネルギーを無理に抑えようとしなくて大丈夫。抑えるのではなく、出口を変えてあげる。それが、私が大切にしていることです。

抑えるのではなく、出口を変える。

家庭でできる、テンポの落とし方5つ

1 大人の声を、ゆっくり・低く

興奮している子に、大きな声で「静かにして!」と言うと、子どものテンポはさらに上がります。大人が先に、声を小さく、ゆっくり、少し低めに。子どもは、まわりのテンポに引っぱられます。

2 ゆっくりの歌や音楽を流す

ゆっくりした歌を、大人が口ずさむだけでも大丈夫です。テンポのゆっくりな音楽に合わせて、一緒に体を揺らしてみてください。

3 ゆっくり体を動かす遊びに変える

「スローモーションで歩けるかな?」「ナマケモノになってみよう」。速く動きたいエネルギーを、ゆっくり動く遊びに変えると、子どもは楽しみながら落ち着いていきます。

4 光と音を、少し減らす

テレビを消す、照明を少し落とす。目と耳に入る刺激が減ると、体も落ち着きやすくなります。特に寝る前は、部屋のテンポごと下げてあげましょう。

5 背中を、上から下へなでおろす

落ち着いてきたら、背中を上から下へ、ゆっくりなでおろします。大人の呼吸もゆっくりに。詳しいやり方は、背中をなでおろすタッチの記事にまとめています。

声・音・動き・光・手のひら。テンポは、まわりから下げられる。

ここまでできていれば、大丈夫です

  • 興奮している子に、まず大人の声を小さく、ゆっくりにできた
  • ゆっくりの歌や、スローモーション遊びを試した
  • 寝る前に、部屋の光と音を少し減らした
  • 「抑える」より「出口を変える」と思えた

よくある質問

毎晩、寝る前に興奮して眠れません

寝る1時間前くらいから、部屋の照明を落とし、テレビや画面を消して、ゆっくりの時間に切り替えてみてください。昼間に外で体を動かす時間があると、夜は落ち着きやすくなります。

外では静かなのに、家に帰ると大暴れします

外でがんばって、エネルギーをためこんでいるのかもしれません。家が安心できる場所だからこそ、出てくるんですよね。帰ったら、まず思いきり体を動かせる時間をつくってから、ゆっくりのテンポに切り替えるのもおすすめです。

興奮しやすいのは、性格ですか?

生まれ持った気質もありますし、疲れや眠気、空腹で興奮しやすくなることもあります。いつもより興奮しやすい日が続くときは、睡眠や食事のリズムも見直してみてください。生活に困ることが長く続くときは、かかりつけの医師や、お住まいの地域の子育て相談の窓口に相談してみましょう。

今日からできるワンアクション

今日は、ひとつだけ。

次に子どもの興奮が止まらないとき、「静かにして」の代わりに、ゆっくり小さな声で話しかけてみませんか。 大人のテンポが、子どものテンポを連れてきてくれます。

エネルギーは、その子の大切な力。完璧じゃなくて大丈夫。ちりつもで、一緒にやっていきましょうね。

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この記事をお届けした人

栄養カウンセラー ちあき

ちあき(小森 千明)
元・特別支援学校教諭 | 栄養カウンセラー
── ライフコーディネーターとして、ご家族の食卓と、毎日の選択の隣にいます

特別支援学校の教員でした。教えていたのは、音楽です。言葉にならない声を、聞き取る仕事でした。その聞き取り方を、いちばん近いところで試されたのが、わが子の子育てです。

メロディーは、その人のもの。私が変えるのは、リズムのほう。

小児外科専門医のクリニックで、栄養カウンセリングを重ねてきました。いまも毎日、現場にいます。

弘前大学 教育学部 障害児教育課程卒。特別支援学校教諭一種免許(知的障害・肢体不自由・病弱)、中学校・高校 音楽教諭一種免許。オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)認定。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。

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ちあき|こどもの栄養カウンセラー×3児の母🌱 @LifeCrescendoC