いま挙げたようなことは、たいてい「性格」や「気持ちの持ちよう」の話にされてしまいます。私たちが診療の現場で見てきたかぎり、多くの場合、そうではありません。
十分に頑張っておられます。むしろ、悲鳴を上げながら頑張っているのかもしれません。
体を動かすエネルギーも、心を安定させるホルモンも、免疫を守る力も、材料がなければつくれません。その材料が「栄養」です。
眠りも、環境も、人との関わりも大切です。そのうえで、いちばん見過ごされてきたのが、ご家族の「栄養」という土台でした。体の栄養と、心の栄養。二つが揃って、はじめて力になります。
土台が整ってくると、変化は、地味なところから出ます。朝、起きられる日が増える。同じ出来事でも、前ほど崩れなくなる。人の言葉が、刺さりすぎなくなる。そうして少しずつ、やりたかったことに、手が届くようになります。
知っていることと、続けられることは、違います
栄養が整えば、すべて解決するという話ではありません。けれど整っていなければ、動くための土台がないまま、頑張るほかなくなります。
そしてもうひとつ。何を食べればいいかは、調べればすぐに出てきます。それでも続かないのは、意志が弱いからではありません。続けられる形になっていないだけです。
スポーツでも、練習の方法は公開されています。それでも、コーチがつくかどうかで、到達する場所が変わります。私たちがやっているのは、知識を渡すことではありません。続けられるところまで、一緒に歩くことです。
子どもが動き出すのは、親が整いはじめたときです
診療の現場で、来る日も来る日も見てきた順序があります。子どもが動き出すのは、多くの場合、お父さん・お母さんが自分の土台を整えはじめたときです。
育て方が悪かった、という話ではありません。むしろ逆です。自分を責めながら頑張り続けている親ほど、心と体の余力が尽きています。
親が自分の心と体を整え、まなざしが変わると、家の空気が変わります。家の空気が変わると、子どもは安心して、自分の力で動きはじめます。
私たちは、その子を「困った子」ではなく、「困っている子」だと考えています。だから、この場所の主役は、お子さんではありません。家族の舵を取る、お父さん・お母さん自身です。
お子さんの診断や治療が必要なときは、かかりつけの医療機関で。私たちがご一緒するのは、その外側——毎日の暮らしを支える、親の学びと実践です。
この記事は、トップページから独立させたものです。まずは声から——Podcast『愛でいっぱいまるまるタッチ』。
