この記事を書いた人
栄養カウンセラー ちあき
小児外科専門医 小森広嗣 監修
白いごはん、食パン、うどん。それから、おせんべいとチョコレート。
お皿の上で、子どもが自分から手をのばすのは、なぜか白いものと甘いものばかり。おかずは、ひと口かじって終わり。「ちゃんと食べてはいるんだけど、これでいいのかな」——そんなふうに感じている方も多いと思うんです。
先にお伝えすると、白いものに寄っていくのは、わがままではなく、体が「すぐ使えるエネルギー」を探していることが多いんです。 だから、取り上げなくて大丈夫。ごはんはそのままで、お皿の「重み」を少しずつ、たんぱく質と脂のほうへ移していく——今日はその順番のお話なんです。
どうして白いものばかり食べたがるの?
ごはん・パン・麺、そして甘いもの。これらに共通しているのは、体の中ですばやくエネルギーに変わることなんです。
お腹が空いて元気が切れかけているとき、体は手っ取り早く燃料になるものを欲しがります。そこに、やわらかくて飲み込みやすく、味も安定している白い主食がある。子どもがそちらに手をのばすのは、体の側から見ると、とても筋の通ったことなんですよね。
もうひとつ、前の記事でお話しした「飲み込む・味わう・消化する」の3つの入口のどこかが詰まっていると、お肉や魚より、白いものの方がずっと楽に入ってきます。白いものに寄るのは、その子が自分で見つけた「食べやすい道」でもあるんです。
白いものに寄るのは、体が楽なエネルギーを探しているサイン。
白いものばかりだと、何が起きやすいの?
すばやくエネルギーになるものは、すばやく使い切られます。血糖(血液の中の糖)がぐんと上がって、そのあと、すとんと下がる。
この「すとん」のときに、子どもは急に元気がなくなったり、だるそうにしたり、ちょっとしたことで泣いたり怒ったりしやすくなるんです。夕方になると決まって崩れる、おやつのあとに機嫌の波が大きい——そんな様子があるなら、この上がり下がりが関係しているのかもしれません。
一方で、たんぱく質(肉・魚・卵・大豆)と脂は、ゆっくりエネルギーになります。血糖の波がなだらかで、元気が長く続く。だから「白いものを減らす」より、「ゆっくり燃えるものを足して、波をなだらかにする」と考えたほうが、うまくいきやすいんです。
減らすより、ゆっくり燃えるものを足して、波をなだらかに。
ごはんを減らしてでも、お肉を増やしたほうがいいの?
これは、本当によく聞かれる質問なんです。小児外科医の夫も、同じことを聞かれるたびに「それで大丈夫ですよ」と答えています。ただし、ひとつ大事な前提があって、全体の量(エネルギー)はちゃんと確保すること。
ごはんを急に半分にして、お肉は食べてくれなかった——これでは、エネルギーが足りなくなってしまいます。だから順番は、
- ごはんの量は、まずそのまま
- そこに、たんぱく質と脂を「混ぜる・のせる・先に出す」
- お肉や卵が入るようになってきたら、自然にごはんの割合が下がっていく
夫はこれを「ウェイトを変える」と言っています。全部を入れ替えるのではなく、お皿の重みを、少しずつ移していくイメージなんです。
ごはんは取り上げない。重みを、少しずつ移す。
家の食卓で、どう「重み」を変える?
いきなり「おかずを全部食べなさい」は、たいてい戦いになってしまいます(わが家もそうでした)。白いものを入口にして、そこにたんぱく質と脂をくっつけていくほうが、ずっと入りやすいんです。
ごはんにくっつける
- 卵かけごはん、しらすごはん、鮭フレーク、納豆、おかかとチーズ
- 炒飯やオムライスにして、卵とお肉を混ぜ込む
パンにくっつける
- ジャムの日を、チーズ・卵・ツナ・ハムの日に少しずつ
- フレンチトースト(卵と牛乳をパンに吸わせる)
麺にくっつける
- うどんに卵を落とす、肉うどんにする
- ミートソース、カルボナーラ(卵とチーズ)
一口目を変える
- 食卓に着いたら、最初のひと口だけおかずから。量ではなく「順番」を変えるだけなんです
白いものを入口に、たんぱく質と脂を「くっつける」。
甘いものは、やめさせたほうがいいの?
取り上げると、かえって欲しくなるのが甘いものなんですよね。ここも「やめる」より「置き場所と相棒を変える」がおすすめです。
- おやつの時間を決める。だらだら食べより、時間を決めた一回のほうが、血糖の波が小さくなります
- おやつに、たんぱく質の相棒をつける。チーズ、ゆで卵、小魚、ヨーグルト、牛乳、おにぎり(しらす・鮭)。甘いものを出す日も、相棒と一緒に
- 寝る前の甘いものは、少し控えめに。夜の眠りや、翌朝の起きやすさにも関わってきます
⚠️ 小魚やナッツはたんぱく質と脂のよい相棒ですが、5歳以下のお子さんには、豆やナッツ類はのどに詰まる事故が報告されています。小さいうちは、チーズ・卵・ヨーグルトなど、やわらかいものを選んでくださいね。
甘いものがどうしてもやめられない、という仕組みそのものは、こちらの記事でくわしくお話ししています。
甘いものは、やめるより「時間」と「相棒」を決める。
ここまでできていれば、大丈夫です
- いまの食卓に、たんぱく質・ビタミンとミネラルが、そこそこ入っている(炭水化物だけになっていない)
- ごはんやパンを取り上げず、量はそのままにできている
- 白いものに、卵・チーズ・お肉・魚のどれかを「くっつける」日が、週に何回かある
- 甘いものの時間が、だいたい決まっている
- 夕方の崩れを「性格」ではなく、エネルギーの波として見られている
こんなときは、医療機関で相談を
食べ方の工夫より先に、相談していただきたいサインもあります。体重が減ってきている、元気がなくぐったりしている、のどがよく渇いて水をたくさん飲み、おしっこの回数が急に増えた。 こういうときは、ご家庭で様子を見ずに、医療機関で相談しましょうね。
今日からできるワンアクション
今日は、ひとつだけ。
明日の朝ごはんの白いものに、ひとつだけ「くっつけて」みませんか。
パンにチーズを一枚。ごはんに卵をひとつ。うどんに鶏肉をひとつかみ。それだけで、お昼までの元気の続き方が、少し変わることがあるんです。食べてくれなかったら、また次の日に別のものを。ちりつもで大丈夫です。
白いものに寄っていくのは、その子が今日を元気に過ごそうとしている、体なりのがんばり。そこを責めずに、ちょっとずつ相棒を増やしていく。食卓が戦いの場所じゃなくなると、子どもは案外、自分から手をのばしてくれたりするんですよね。
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※ ここでお渡しするのは、家庭での教育と実践のサポートです。診断や治療は、医療機関の役割です。
この記事をお届けした人

ちあき(小森 千明)
元・特別支援学校教諭 | 栄養カウンセラー
── ライフコーディネーターとして、ご家族の食卓と、毎日の選択の隣にいます
特別支援学校の教員でした。教えていたのは、音楽です。言葉にならない声を、聞き取る仕事でした。その聞き取り方を、いちばん近いところで試されたのが、わが子の子育てです。
メロディーは、その人のもの。私が変えるのは、リズムのほう。
小児外科専門医のクリニックで、栄養カウンセリングを重ねてきました。いまも毎日、現場にいます。
弘前大学 教育学部 障害児教育課程卒。特別支援学校教諭一種免許(知的障害・肢体不自由・病弱)、中学校・高校 音楽教諭一種免許。オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)認定。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。
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ちあき|こどもの栄養カウンセラー×3児の母🌱 @LifeCrescendoC
