森のようちえんとは?自然が育てる子どもの力と、お母さんの「第3の選択肢」

「預けて働くか、家で見るか」の二択で、苦しくなっていませんか?

夏休みを目前に、お弁当の献立と自由研究のことで頭がいっぱいの時期ですよね。毎日、本当にお疲れさまです。

先日、Podcast『愛でいっぱいまるまるタッチ』に、千葉県の房総エリアで「森のようちえん」を運営されている小谷(おだに)みゆきさんをお迎えしました。2歳と5歳のお子さんを育てている、現役のお母さんでもあります。

実はわが家も、3人の子どもたちを園舎のない幼稚園に通わせていました。1日中、外で活動して、月に1回は高尾山に登ってすぐ帰ってくる。「どれだけ早い脚力を持たせるんだろう」と思っていたら、年長さんになると八ヶ岳にまで登ってしまう。そんな環境で育つわが子を見てきて、自然の中で過ごす時間は本当にありがたかったなと、今になって思うんです。

今日はみゆきさんのお話から、自然が子どもを育てる力と、「働くか、家で見るか」の二択で苦しくなっているお母さんへのヒントをお届けしますね。

森のようちえんとは?地域の自然を子どもと一緒に発見していく保育

森のようちえんとは、その地域にある自然や資源を子どもたちと一緒に発見し、開拓しながら、その場所を生かして育っていく保育活動なんです。北海道から沖縄まで全国にあって、地域が違えば自然の姿もまったく違う。山も川も海も、そして身近な地域の中でも、自然の要素を含んだ活動は十分に成り立つそうです。

ポイントは、自然は「人間が計画したものばかりではない」ということ。室内と違って暑い日も寒い日もあるし、雨も降る。危険が完全に取り除かれているわけでもありません。

でも、だからこそ子どもたちは、自分の体で感じながら学んでいくんですよね。「こうすると転ぶんだな」「こうやれば登れるんだな」「雨の日はこんな不快があるんだな、じゃあどうすればいいのかな」。頭ではなく、体まるごとで覚えていく。この体感こそが自然保育のいちばんの宝物なのだと、みゆきさんは教えてくれました。

焚き火の枝を、子どもが自分で選び始める

みゆきさんたちは、火を焚くことを許可されている場所をフィールドとして使わせてもらっているそうです。

最初、子どもたちは、どの枝だと着火しやすいのかを知りません。杉の葉は火がつきやすい、この竹の葉があると最初の火がつきやすい。誰も教えていないのに、2回目、3回目と活動していくうちに、準備が始まると子どもたちが勝手にその葉っぱを拾ってくるようになるんだそうです。

誰かに言われたからではなく、自分の体で覚えたから動く。この差は、きっと大きいんですよね。

雨の日、先回りしてしまうのは大人のほう

もうひとつ、耳が痛かったお話があります。

梅雨の雨の日。大人はつい「雨の中で遊ぶといっても、竹で水を流す実験でも用意しておかないと、楽しく過ごせないんじゃないか」と先回りして考えてしまう。私も完全にこのタイプです(笑)。

でも実際は、レインコートを着せて「雨でも遊んでいいよ」という環境があるだけで、子どもたちはどんどん自分で遊びを作り出していくそうです。葉っぱ、飛んでいるカエル、雨が流れる様子。そこに手をつけるだけで、もう遊びになるんですよね。親はただ観察しているだけでいい。

子どもはもともと遊ぶ天才で、感性を持っている。むしろ大人のほうが硬い頭で「ここでは遊べない」「ここは危険だ」と決めてしまう。子どもを自由にさせておくことが、いちばん大人の学びになる——みゆきさんのこの言葉が、いちばん胸に残りました。

学んでいるのは、実はお母さんのほう

森のようちえんに参加したお母さんたちからは、「自分が主体としてそこに混ざって、子どもと一緒に遊んでみたら、すごく楽しかった」という感想がよく返ってくるそうです。

学ぶというより、思い出す感覚。子どもの頃には持っていたはずなのに、いつのまにか忘れてしまっていた感覚を、親のほうが取り戻していくんですね。

想像しているうちは「洗濯が大変そう」「そんなの本当に楽しいのかな」と戸惑いもあると思うんです。でも、体験してみることに勝るものはない、と。子育てって、義務感でこなす時間になってしまう日もあるけれど、本当は一緒に楽しんで、親自身も成長できる時間なんですよね。

「働くか、家で見るか」——その間にある第3の選択肢

この5年、10年で、お母さんが早い段階で仕事に復帰する流れはどんどん加速している、とみゆきさんは感じているそうです。

もちろん「働きたいから復帰する」なら素敵なこと。でも中には、「本当はもう少しこの子を見ていたい。でも、みんなが働いているから」というプレッシャーで復帰を決める方も少なくないといいます。

みゆきさんご自身は、自営でお仕事を持ちながら、平日に自主保育の時間を作るという形で森のようちえんを立ち上げました。「100%仕事に復帰する」と「週7日、100%自分で子どもを見る」。その両極端の間に、もうひとつの道を作れないか——そう考えたのだそうです。

かといって、一人きりで1対1で抱え込めば、孤独になってしまう。だからみんなで見守る。お母さん同士が集まって、自然の中で子どもと触れ合いながら、いろんなことを学んでいく。

「預けて働くか、家で見るか」。その二択しかないと思い込んで、苦しくなっていませんか?

もしあなたが今、「本当はもう少しそばにいたいのに」と自分を責めているなら、それはあなたのせいではありません。選択肢が2つしか見えない世の中の空気が、そう思わせているだけなんです。

間を取る道、組み合わせる道、少しずつ変えていく道。第3案は、きっとあります。

やりくりする姿が、子どもの中に種を蒔く

そして私がいちばんいいなと思ったのは、その姿を子どもが見ているということでした。

「お母さん、いろいろやりくりしてたな」「仕事も大事にしていたけど、自分も大事にされていたな」。それは記憶というより、体感覚として子どもの中に残っていくと思うんです。

その体感覚が、大人になった時に芽を出す。「どっちにしよう」と迫られた場面で、二択のどちらかを選ぶのではなく、第3案を考えられる人になる。お母さんがやりくりしながら自分の道を選ぶ姿は、そのまま子どもへの種まきなんですよね。

どっちかではなく、その間をつなげて、次に進める道を開拓していく。みゆきさんの活動から、私もたくさん勇気をもらいました。

今日からできるワンアクション

次の週末、ほんの30分でいいので、子どもと一緒に「大人も本気で」外遊びをしませんか?

遊びを用意する必要はありません。公園の葉っぱ、水たまり、アリの行列。子どもが見つけた遊びに、お母さんも主体として混ざってみる。それだけで、忘れていた感覚がふっと戻ってくるかもしれません。

完璧じゃなくて大丈夫。泥んこの洗濯物は、思いきり楽しんだ証拠なんです(笑)。一緒に、少しずつやっていきましょうね。

森のようちえんに触れてみたくなったら

「うちの近くにもあるのかな」と思った方へ。森のようちえんは、北海道から沖縄まで全国にあります。「森のようちえん」と、お住まいの地域名を一緒に検索すると、近くで活動している団体が見つかるかもしれません。

みゆきさんは今、千葉県睦沢町で「森のようちえん ふかふか」を運営されています。以前関わっていた「いすみっこ」から、引っ越し先の隣町で新しく立ち上げた団体なんだそうです。実際の活動の空気は、SNSからものぞくことができますよ。

今回のゲスト・小谷(おだに)ご夫妻のこと

今回お話をうかがった小谷みゆきさんは、自然の中でのびのびと子どもを育てる「森のようちえん」を運営されています。幼児期の自然体験や、子どもの主体性を育む保育・教育環境づくりに取り組んでいらっしゃる方です。

そしてご主人の小谷修平さんは、200回記念シリーズ第1回にご登場いただいた、24時間走世界選手権の元日本代表ウルトラランナー。ご自身の経験を活かして、分子栄養学にもとづいたランナー向けサプリメントの開発や運動指導、スポーツ科学の発信をされています。

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この記事をお届けした人

ちあき(小森 千明)
小森こどもクリニック ライフコーディネーター / 栄養カウンセラー
元特別支援学校教員。オーソモレキュラー栄養医学研究所(ONE)認定カウンセラー。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。
「栄養という言語で哲学を届ける」をテーマに、毎日のごはんとタッチケアから、親子の心と体を整えるサポートを行っています。

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