この記事は、小児外科専門医・小森広嗣が、教材『からだの土台』(全12章)から LifeCrescendo に寄稿したものです。前半を公開し、続きは note でお読みいただけます。
朝、名前を呼んでも起きてこない。ようやく起きても、食卓で目が開いていない。学校には行けている。宿題も出している。けれど、夕方にはもう何も残っていない。——そんなお子さんの親御さんから、外来でこう切り出されることがよくあります。
「血液検査は問題ないと言われました。貧血ではありません、と」
その言葉は、正しいのです。検査をした先生は、間違っていません。ただ、ひとつだけ知っておいていただきたいことがあります。「貧血ではありません」と「鉄は足りています」は、別のことを言っているのです。
はじめに、ひとつだけお断りしておきます。この記事は、学ぶための読み物です。診断をするものではありません。お子さんの状態について気になることがあれば、必ずかかりつけの先生にご相談ください。
この記事は、教材『からだの土台』全12章の第4章——②元気の、一章目です。全体の地図は、第1章(無料)にあります。
「足りているか、いないか」の二択ではありません
鉄が足りているかどうかを、○か×かで考える。——ここが、最初のつまずきです。
体の中で実際に起きていることは、二択ではありません。段階です。鉄は、ある日とつぜん足りなくなるのではなく、何段階もかけて、静かに減っていきます。
そして、この章でいちばんお伝えしたいのは、次の一行です。
貧血は、その段階の、いちばん最後のほうに出てきます。
つまり「貧血ではありません」という言葉は、正確には「まだ最後まで行っていません」という意味なのです。それは「足りています」とは、まったく違うことを言っています。
この違いが分かると、宙づりの時間が終わります。検査は問題ない。けれど、子どもは朝起きられない。——その二つのあいだには、体の側の理由がちゃんとあるのです。そこが見えないあいだ、残る説明は「気持ちの問題」か「甘え」しかなくなり、本人も、親御さんも、自分を責める側に回っていきます。外来でお話を伺っていて、いちばん長く、いちばんもったいないと感じるのが、この時間です。
では、最後より手前の段階で、体の中では何が起きているのか。なぜ、血は無事なのに、本人はつらいのか。「血はむしろ濃いくらい」と言われた子の貯金が、なぜ空のことがあるのか。熱のあいだに鉄を足すのを止める理由は何か。元気になったところでやめると、なぜ振り出しに戻るのか。——そして、家庭では何から手をつければいいのか。最後に、台所で数えられる、ひとつの一手をお渡しします。
続きは、教材『からだの土台』第4章で
ここから先——体が血を最後まで守る順番、子どもの体が「数」でそろえる事情、減っていく三つの入り口、熱のあいだに鉄を止める理由、足す前に整える現場の順序、そして家庭の一手——は、note の第4章(¥980)でお読みいただけます。
からだの土台 ── 子どもの体を、下から順に整える全12章(note)
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小森 広嗣(小児外科専門医・医学博士)
*この記事は、学びのための読み物です。診断や治療をするものではありません。お子さんの状態について気になることがあれば、かかりつけの先生にご相談ください。
