オキシトシン(幸せホルモン)は触れ合いだけじゃない。忙しくても増やせる「誰かのために」の習慣

「幸せホルモン」って、特別なことをしないと出ないの?

こんにちは、ちあきです。

9月に入って、学校がようやく始まって2週間ちょっと。来週はシルバーウィークで、五連休になるご家庭もあるかもしれませんね。家族でゆっくり過ごせる、そんな時にこそ、今一度考えてみたいお話があるんです。

「オキシトシン」という言葉、きっと一度は聞いたことがあると思います。「幸せホルモン」「愛情ホルモン」なんて呼ばれていて、増やすといいらしい――でも、「増やすって言われても、毎日バタバタで、特別なことなんてできないよ」。私自身、ずっとそう思っていました。

でも最近、タッチケアの第一人者と言われる山口創先生(桜美林大学教授・身体心理学者)の『幸福感の法則 ── 4つの幸せホルモンを増やすポジティブ心理学』という本を、ようやく読み終えたんです。そこには、私がベビーマッサージの教室でずっとお伝えしてきたことと、きれいに繋がる発見がありました。今日はその感想を、少しおすそ分けさせてください。

そもそもオキシトシンは、なぜ「愛情ホルモン」なんでしょう

オキシトシンで有名なのは、出産のときの話かもしれません。妊娠して出産を迎えるとき、助産師さんから「オキシトシンは出産と関係しているよ」と聞いた記憶のある方も、いらっしゃるのではないでしょうか。赤ちゃんを産むときの収縮や、産後の授乳にも関わっている、体のホルモンなんですね。

でも、それだけじゃないんです。脳の中でオキシトシンが働くと、人とのつながりや信頼関係、親密さ、安心感にも作用してくれる。だから「愛情ホルモン」、本の中では「絆ホルモン」、総合して「幸せホルモン」と呼ばれているんですね。

そう考えると、日々の育児のひとつひとつが、実はすごいことをしていたんだなと、改めて感じます。赤ちゃんが生まれる、オキシトシンが出る。抱っこする、出る。目を合わせる、出る。授乳のときも、抱っこするから出る。優しく触れる、出る。単なる「お世話」だと思ってやっていたことが、この体を使って、体の中から親子の絆を育てていた。なんだか、じんわり嬉しくなりませんか。

触れるということは、「あなたは大切な存在だよ」を、言葉ではなく手で伝えているということ。まだ言葉の意味が分からない小さな子でも、幸せホルモンを通して、「大好きだよ」「ここにいていいんだよ」がちゃんと届いているんです。

実は、触れられた側だけじゃないんです

ここが、私がいつもお伝えしたいところなんです。オキシトシンの恩恵は、触れられた赤ちゃんや子どもだけのものではありません。触れているお母さん・お父さんの側にも、ちゃんと出てくれるんですね。

子どもを抱きしめる。パートナーと手をつなぐ。大切な人の背中をさする。ペットを撫でる。そういう、ちょっとした、さりげない触れ合いが、自分の心にも作用してくれる。山口先生が紹介されている研究でも、人と人が触れ合うことでオキシトシンが分泌され、ストレスホルモンであるコルチゾールが減っていく、と示されています。

ストレス社会の中で、「じゃあ、どうしたらいいの?」と立ち止まってしまう夜もありますよね。触れることで、幸せのホルモンが出て、ストレスのホルモンが減る。まさに一石二鳥なんです。誰かを安心させようと「大丈夫だよ」と伸ばしたその手が、実は自分自身の安心と幸福にもつながっている。触れるって、本当にすてきですね。

スキンシップだけじゃない。「誰かのために」でも増える

そして本の中で、もう一つ面白い発見がありました。オキシトシンを増やす方法は、スキンシップだけではないんです。

たとえば、人と人との交流。そして、誰かのために行動すること。 親であれば子どものために。職場であれば、お客さんのために、患者さんのために。司会をする人なら、聞いてくれている人のために。触れていなくても、誰かのために動くこと自体が、オキシトシンを増やしてくれるそうなんです。

ちなみにこの本、幸せホルモンをオキシトシンだけで語らないところも面白いんです。ドーパミン・オキシトシン・セロトニン・エンドルフィンという4つを、それぞれ一章ずつ立てて紹介してくれています。たとえば森林浴のように、五感が心地よく満たされる時間も出てくるのですが、そちらはどちらかというとセロトニンのお話。「幸せホルモン」とひとくくりにせず、役割を分けて見せてくれるので、自分の毎日のどこにどれが隠れているのかが、見えやすくなりました。

これを読んだとき、アドラー心理学の「共同体感覚」とすごく似ているな、と思いました。「私はここにいていい」「私は誰かの役に立てる」「私はこの共同体の一員だ」――そんな感覚を大切にする考え方です。

共通しているのは、誰かに何かをしてもらうことで幸せになるのではなく、自分が誰かのためにできることをすることで、自分の幸福感も満たされていく、という順番なんですね。「情けは人の為ならず」ということわざ、まさにこの通りだったんだなと。

私が大好きな『7つの習慣』の「愛は動詞」という言葉も、ここにつながってきます。「愛してください」ではなくて、「愛するんです」。自分から主体的に、相手のために動く。一見すると相手のためのように見えて、実はその動きで自分にオキシトシンが出て、自己肯定感まで高まっていく。なんて、いいスパイラルなんでしょう。

「くれくれ」だと、むしろ減ってしまう

ただ、ひとつだけ気をつけたいのは、「もっと、もっと」「ちょうだい、ちょうだい」という気持ちだと、この幸せは、むしろ減ってしまうということ。

昔話の「ここ掘れワンワン」を思い出します。正直じいさんは、見返りを期待してポチを可愛がっていたわけではありませんでした。ただ大切に世話をしていて、その先で「ここを掘って」と教えてもらえたんですよね。一方、宝が欲しくて犬を借りていった隣のおじいさんには、何も出てこなかった。順番が逆だと、出るものも出ない。昔話は、ずっと前から教えてくれていたんだなと思います。

見返りを数えずに動いていた時間の分だけ、見えないところで、オキシトシンという貯金が、ちゃんと貯まっていたのかもしれませんね。

今日からできる、ちりつもの一歩

むずかしいことは、何もいらないんです。抱きしめる。触れ合う。話を聞く。目と目を合わせる。「ありがとう」と、笑顔を向ける。

たったそれだけ。幸せは、特別なことの中にあるのではなくて、こういう日常の些細な「ちりつも」の中に、いっぱい隠れているんですね。私も、今晩ひとつ、子どもの背中をさすることから、また始めてみようと思います。一緒に、ちりつもで、いきましょうね。

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この記事をお届けした人

ちあき(小森 千明)
元・特別支援学校教諭 | 栄養カウンセラー
── ライフコーディネーターとして、ご家族の食卓と、毎日の選択の隣にいます

特別支援学校の教員でした。教えていたのは、音楽です。言葉にならない声を、聞き取る仕事でした。その聞き取り方を、いちばん近いところで試されたのが、わが子の子育てです。

メロディーは、その人のもの。私が変えるのは、リズムのほう。

小森こどもクリニックの運営統括マネージャーとして、いまも毎日、現場にいます。

弘前大学 教育学部 障害児教育課程卒。特別支援学校教諭一種免許(知的障害・肢体不自由・病弱)、中学校・高校 音楽教諭一種免許。オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)認定。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。

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