この記事を書いた人
栄養カウンセラー ちあき
小児外科専門医 小森広嗣 監修
「お菓子、もう1個だけ!」「ジュースがいい!」
取り上げようとすると大泣き、隠しておいても見つけ出す。食事はあまり進まないのに、甘いものだけは別腹——そんな毎日に、つい「どうしてこんなに甘いものばかり」と責めたくなる日もありますよね。
先にお伝えすると、甘いものがやめられないのは、意志が弱いからではないんです。 体が「すぐ使えるエネルギー」を強く欲しがる仕組みが、いくつか重なっているから。だから、我慢や禁止より、順番を変えて、少しずつ置き換えるほうが、ずっと抜け出しやすいんです。
この記事でわかること
- 子どもがお菓子や甘いものばかり欲しがる3つの理由
- 禁止せずに、置き換えていく順番と早見表
- お菓子ばかりでご飯を食べないとき・糖尿病が心配なときの考え方
どうして、甘いものを欲しがるの?
甘いものへの「欲しい!」には、3つの仕組みが同時に働いています。
① エネルギーをつくる力が足りない
体の中では、食べたものを材料にして、動くためのエネルギーをつくっています。その工場を動かすには、鉄やビタミンB群などの材料が欠かせません。材料が足りないと、体は「いちばん早く力になる甘いものを!」と求めやすくなるんです。
② 血糖のジェットコースター
甘いものを食べると、血糖(血液の中の糖)がぐんと上がり、そのあと、すとんと下がります。この「すとん」のとき、体は慌てて、イライラしたり、そわそわしたり。そして、また手っ取り早い甘いものが欲しくなります。
③ 脳が「甘いもの=ごほうび」と覚える
甘いものを食べると、脳は一時的に「うれしい」を感じます。それをくり返すと、「疲れたら甘いもの」という近道を、脳が覚えてしまうんですよね。
この3つは、おたがいに輪のようにつながっています。だから、どれかひとつを我慢で止めるより、輪のあちこちを少しずつゆるめるのが近道なんです。
甘いものが欲しいのは、体の中の輪が回っているから。
甘いものは、禁止したほうがいい?
「明日から、お菓子は一切禁止!」——これは、たいてい逆効果です。取り上げられると、かえって欲しくなるのが甘いもの。我慢は長続きしません。
大切なのは、「やめる」のではなく「順番を変える」「置き換える」こと。次の段で、家でできる順番をお話ししますね。
禁止より、順番と置き換え。
家でできる、抜け出す順番は?
① おやつの「前」に、たんぱく質をひと口
空腹のまま甘いものを食べるのが、いちばん血糖が跳ね上がりやすいんです。お菓子の前に、チーズひとかけ、ゆで卵半分、牛乳。それだけで、上がり方がなだらかになります。
② 朝ごはんを、甘いもの・パンだけにしない
菓子パンやシリアルだけの朝は、1日のジェットコースターのスイッチを押すようなもの。卵・チーズ・ツナ・納豆など、たんぱく質をひとつ足してみてください。
③ お菓子の「質」を、1段だけ上げる
菓子パンをおにぎりに、グミを干し芋に、チョコレートはカカオの多いものを少しだけ。100点をめざさず、60点のおやつでいいんです。
④ ジュースは、寝る前を避ける
いきなりゼロは難しくても、まず「寝る前は飲まない」から。夜の甘い飲みものは、翌朝のだるさにもつながりやすいんです。
⑤ 寝る前に、軽いたんぱく質を
夜中におなかが空いて目が覚める子は、寝る前に、ゆで卵半分や温かい豆乳など、軽いものを少しだけ。夜を穏やかに過ごせると、朝の「甘いもの欲しい」も落ち着きやすくなります。
⑥ 「意志」ではなく「環境」を変える
冷蔵庫にゆで卵やチーズを置いておく。お菓子は買い置きを少なめに。我慢するのではなく、自然と体にいいものに手が伸びる台所をつくるのがコツです。
⚠️ ナッツはたんぱく質と脂のよい相棒ですが、5歳以下のお子さんは、のどに詰まる事故が報告されています。小さいうちは、チーズや卵、ヨーグルトを選んでくださいね。
おやつの前にひと口、朝にひとつ、台所にひと工夫。
お菓子・甘いものの置き換え早見表
いきなりゼロにしなくて大丈夫です。「いつものもの」を、ひとつずつ「となりの選択肢」へ。
| いつもの | 置き換えの例 | ポイント |
|---|---|---|
| 菓子パン | おにぎり・トースト+チーズ | たんぱく質の相棒をつける |
| ジュース・甘い飲み物 | 水・麦茶・牛乳 | 飲み物からがいちばん変えやすい |
| スナック菓子 | 焼き芋・ゆで卵・枝豆・小魚 | 噛みごたえのあるものを |
| チョコ・クッキー | 果物+ヨーグルト・チーズ | 甘さは果物で |
| 寝る前のお菓子 | 温かい牛乳・小さなおにぎり | 夜は少しだけ |
お母さん自身が、甘いものに頼っていない?
子どもの食卓は、お母さん・お父さんの毎日を映す鏡でもあります。大人が疲れきっていると、手軽な甘いものに頼りたくなるのは、自然なことです。
だからこそ、大人の食卓にも、たんぱく質をひとつ。お母さん自身の元気が戻ると、子どもの食卓に向き合う余裕も、少しずつ戻ってきます。
大人の元気も、子どもの食卓の土台。
わが家は、どうやって抜け出したの?
実は、わが家もかつては「疲れたら甘いもの」が当たり前でした。「頭を使うには糖が大事だから」と言い訳をしながら、その場しのぎのうれしさに頼っていたんです。
でも、毎日の食卓にたんぱく質を足し、エネルギーの波を少しずつなだらかにしていくと、ふしぎと「どうしても欲しい」という気持ちが落ち着いていきました。
もちろん、いまでも時々は、楽しみとして甘いものを味わいます。それは人生の大切なよろこびです。ただ、量が多い日が続くと、体が重くなり、気持ちも揺れやすくなる。体は、本当に正直なんですよね。だから、完璧をめざすのではなく、少しずつ体を「チューニング」していくくらいの気持ちでいいんです。
ここまでできていれば、大丈夫です
- いまの食卓に、たんぱく質・ビタミンとミネラルが、そこそこ入っている(炭水化物だけになっていない)
- おやつの前に、たんぱく質をひと口入れられる日がある
- 寝る前のジュースを、ひとつ置き換えられた
- 甘いものを欲しがる子を「意志が弱い」と責めなくなった
よくある質問
お菓子ばかり食べて、ご飯を食べないときは?
まず、お菓子の時間を、ごはんの2時間前までに。そして、ごはんを食べなかったあとにお菓子で埋めないこと。「ご飯を食べなくても、あとでお菓子がもらえる」という流れができると、ますますご飯が進まなくなりやすいんです。ごはんを小さく盛って、食べきれた日を増やしていきましょう。
お菓子ばかり欲しがるのは、愛情不足?
いいえ。体が「すぐ使えるエネルギー」を欲しがっていることが多いんです。朝ごはんや補食のたんぱく質が足りているか、空腹の時間が長すぎないかを、先に見てみてください。
お菓子ばかりで、糖尿病にならない?
甘いものを食べたからといって、すぐに糖尿病になるわけではありません。ただ、甘い飲み物が毎日多い、体重が増えすぎている、のどがよく渇く・おしっこの回数が増えた、というときは、医療機関に相談してくださいね。
こんなときは、医療機関で相談を
甘いものの欲しがり方の奥に、体の病気が隠れていることもあります。のどがよく渇いて水をたくさん飲み、おしっこの回数が急に増えた、食べているのに体重が減る、だるさや顔色の悪さが続く、急に強く甘いものを欲しがるようになった。 こういうときは、ご家庭で様子を見ずに、医療機関で相談しましょうね。
今日からできるワンアクション
今日は、ひとつだけ。
今日のおやつの前に、チーズかゆで卵を、ひと口だけ出してみませんか。
甘いものは、取り上げなくて大丈夫。順番を少し変えるだけで、体の欲しがり方は、ゆっくり変わっていきます。「我慢してやめる」のではなく、「体が求めなくなる」のが、本当のゴールなんですよね。ちりつもで、一緒にやっていきましょうね。
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この記事をお届けした人

ちあき
心と体の栄養カウンセラー | ライフクレッシェンド株式会社 代表
── ライフコーディネーターとして、ご家族の食卓と、毎日の選択の隣にいます
特別支援学校の教員でした。教えていたのは、音楽です。言葉にならない声を、聞き取る仕事でした。その聞き取り方を、いちばん近いところで試されたのが、わが子の子育てです。わが子の発達に悩み、「私の愛し方が足りないのだろうか」と自分を責めた日々もありました。転機は、体の土台を整える「栄養」でした。
メロディーは、その人のもの。私が変えるのは、リズムのほう。
小児外科専門医のクリニックで、子どもと家族の栄養カウンセリングを重ねてきました。いまも毎日、現場にいます。2019年の秋からは、地域の親子ひろばなどで、ベビーマッサージ・タッチケアの教室も開いています。
弘前大学 教育学部 障害児教育課程卒。特別支援学校教諭一種免許(知的障害・肢体不自由・病弱)、中学校・高校 音楽教諭一種免許。オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)認定。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。
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ちあき|こどもの栄養カウンセラー×3児の母🌱 @LifeCrescendoC
