💡 この記事の活用について
「サプリを飲んでいるのにお菓子がやめられない」というお悩みに対して、体の中で起きているメカニズムと、今日からできる具体的な抜け出し方を解説しています。
【必ずお読みください】
この情報は、医師の診察を受け、指導下にある患者様へのサポートとして提供しています。 お子様の体質や現在の治療状況によっては、適さない方法も含まれます。初めての方は自己判断せず、必ず医師の診察・指示を受けてから実践してください。📖 栄養外来がはじめての方は、まず 🔰スタートアップ・ガイド をご覧ください。
栄養療法を頑張っているのに、お菓子だけはやめられない…
「先生、サプリは毎日ちゃんと飲んでいます。でも……お菓子がどうしてもやめられなくて。」
小森こどもクリニックの栄養外来やオンライン相談で、最も多く寄せられるお悩みの一つです。
真面目に取り組まれているご家族ほど、「甘いものを制限できない自分(や子ども)」を責めてしまいがちです。
しかし、結論からお伝えします。
「甘いものがやめられないのは、意志が弱いからではありません。体の中で、甘いものを強烈に欲しがる『緊急事態』が起きているからです。」
今回は、なぜ甘いものがやめられないのか、そのメカニズムと「サプリだけでは解決しない理由」、そして今日からできる具体的な抜け出し方を解説します。
体が甘いものを欲しがる「3つのメカニズム」
甘いものへの渇望には、以下の3つの仕組みが同時に働いています。
1. エネルギー工場が動いていない(ATP不足)
細胞の中にあるエネルギー工場「ミトコンドリア」が動くには、鉄とビタミンB群が不可欠です。これらが不足すると、体は十分なエネルギー(ATP)を作れません。
すると脳は「エネルギーが足りない!一番早くエネルギーになる糖を入れろ!」と緊急指令を出します。これが渇望の正体です。
2. 血糖値のジェットコースター(反応性低血糖)
甘いものを食べると血糖値が急上昇し、その後インスリンによって急降下します。この急降下時、体は「命の危機」と勘違いしてアドレナリンを放出します。
アドレナリンが出ると、イライラしたり、夜中に目が覚めたり、朝起きられなくなります。そして疲労感から、また手っ取り早い「甘いもの」を欲してしまうのです。
3. 脳の「報酬回路」の学習
砂糖を食べると、脳内でドーパミンが分泌され、一時的な快感を得ます。これを繰り返すと、脳が「疲れたら糖を入れればいい」と学習してしまい、神経回路のレベルで依存状態(マイルドな糖質依存)が形成されます。
なぜ「サプリを飲んでいるのに」変わらないのか?
「鉄もB群もサプリで飲んでいるのに、お菓子がやめられません」
この疑問に対する答えは、当院でよくお伝えする「トラックと道路と工場」の比喩にあります。
サプリメントは、トラックに積んだ「荷物(材料)」です。
しかし、毎日ジュースやお菓子で血糖値が乱高下していると、体の中ではその乱高下を処理するために、せっかく飲んだビタミンB群などが大量に消費されてしまいます。
つまり、「材料(サプリ)を入れても、糖質の処理に奪われてしまい、本来のエネルギー工場(ミトコンドリア)を回す分が残っていない」のです。
サプリは「足し算」ですが、食事の乱れは強力な「引き算」です。足し算だけで引き算に勝つことはできません。
今日からできる「抜け出すための7つのステップ」
では、どうすればいいのでしょうか。「明日からお菓子を一切禁止!」は逆効果です。我慢は長続きしません。
大切なのは、「やめる」のではなく「順番を変える」「置き換える」ことです。
① おやつの「前」にタンパク質を食べる
空腹で甘いものを食べるのが一番危険です。お菓子の前に、チーズひとかけら、ゆで卵半分、ナッツを食べる。これだけで血糖値の急上昇(スパイク)を防げます。
② 就寝前に「少量のタンパク質」を摂る
夜間低血糖を防ぐための最強のテクニックです。寝る前に少量のタンパク質を摂ることで、夜中のアドレナリン分泌を防ぎ、翌朝の疲労感(=甘いものへの渇望)を減らします。
– 焼き鳥1本やゆで卵半分
– 豆乳にMCTオイルを少し加えたもの
– お刺身とアボカドなどのおつまみ系
これらが意外とおすすめです。特にお刺身は生の消化酵素も摂れるため、胃腸への負担も少なく夜のタンパク質補給にとても適しています。
③ ジュースは「寝る前」を避ける
いきなりゼロにするのが難しければ、まずは「寝る前は絶対に飲まない」というルールに。飲むなら、日中の活動する前(エネルギーとして使われるタイミング)にしましょう。
④ お菓子の「質」を1段階だけ上げる
チョコレートを「高カカオ(70%以上)」に。グミを「干し芋」に。菓子パンを「おにぎり」に。100点を目指さず、60点のおやつに置き換えます。
⑤ 朝食を「糖質オンリー」にしない
菓子パンやシリアルだけの朝食は、1日の血糖ジェットコースターのスイッチを押すようなものです。卵やチーズ、ツナ缶など、必ずタンパク質を1品足してください。
⑥ お母さん自身の鉄不足を疑う
お子さんの食生活は、お母さんの状態を映す鏡です。お母さん自身が鉄不足で疲れていれば、手軽な甘いものに頼りたくなります。まずはお母さんが鉄とタンパク質をしっかり摂りましょう。
⑦ 「意志」ではなく「環境」を変える
冷蔵庫にゆで卵を常備する。ジュースの代わりに炭酸水を箱買いしておく。「我慢する」のではなく、「自然と良いものに手が伸びる環境」を作ることが成功の秘訣です。
⑧ 血糖値を上げない「お助けアイテム」を活用する
甘みがどうしても欲しい時は、血糖値を上げない天然甘味料「ラカント」を活用しましょう。料理や飲み物に使う砂糖をラカントに置き換えるだけで、血糖値の乱高下をグッと抑えられます。
また、脳がエネルギー不足を叫んでいる時には「MCTオイル」が有効です。糖質の代わりに素早く脳のエネルギー源(ケトン体)となるため、飲み物や汁物に小さじ1杯混ぜるだけで、甘いものへの渇望が不思議と落ち着きます。こうしたアイテムを賢く使って体をチューニングしていくのが成功の秘訣です。
私たち自身の体験談:甘いものは「禁止」ではなく「体のチューニング」
実は私たち自身も、栄養療法を始める前は「疲れたら甘いもの」が習慣でした。「脳にはブドウ糖が大事だから」と言い訳をして、その場しのぎの幸福感という「応急処置」をしていたのです。その後の反動で体がだるくなることも分かっていたのに、です。
しかし、栄養療法で血糖値が安定してくると、不思議と「食べたい」という気持ち自体がなくなりました。たまに食べると、昔大好きだったお菓子が「甘すぎて食べられない」と感じるほどです。
もちろん、今でも時々はご褒美として甘いものを楽しみます。それは人生の楽しみとして大切にしていいと思っています。ただ、長く栄養療法を実践している私たちでさえ、糖質を摂りすぎれば確実に血糖値スパイクが起き、体が重くなり、気持ちが不安定になります。体は本当に正直です。
だからこそ、完璧を目指すのではなく、なるべく「甘いものを欲しない状態」「血糖値が維持できる状態」へと、少しずつ体を修正し、チューニングしていく。そのくらいの気持ちで続けていくことが大切だと考えています。
焦らなくて大丈夫です
鉄やB群が体に満ちて、エネルギー工場がしっかり回り始めると、ある日ふと「あれ?最近、甘いものをそんなに欲しくないな」と気づく瞬間がやってきます。
「我慢してやめる」のではなく、「体が求めなくなる」のが本当のゴールです。
完璧を目指さず、今日できる「小さなタンパク質のちょい足し」から始めてみてください。
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(※「おやつの選び方」や「忙しい日のコンビニ活用術」など、より具体的な実践アイデアをまとめています)
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(※甘いもの渇望の最大の原因「鉄欠乏」。サプリ選びで失敗しないための、腸に優しい鉄の選び方を解説しています)
カウンセラー発信Xでは、毎日の「リアル食事」を発信中
「やめなきゃ」と分かっているのに甘いものに手が伸びてしまう日。そんなリアルな日常に寄り添いながら、「60点でいい」おやつの工夫や、今日できるタンパク質のちょい足しを発信しています。
👉 ちあき|こどもの栄養カウンセラー×3児の母🌱 @LifeCrescendoC
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この記事の執筆・監修
栄養カウンセラー ちあき
小森こどもクリニック 栄養カウンセラー/3児の母。
元・特別支援学校教諭。弘前大学教育学部卒業後、障害児教育の現場を経て、夫・小森広嗣の小児外科医としての活動を支えながらクリニック運営に携わる。
自身の子育ての中で、発達疑いのあるお子さんを栄養療法でサポートしてきた実体験を持つ。「頭でわかっていても、毎日の食事はしんどい」というお母さんたちの本音を誰より知る一人として、生活に根ざした「続けられる栄養の整え方」を伝えることを大切にしている。
オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)、ベビーマッサージ・タッチケアセラピスト、7つの習慣®認定ファシリテーター。Podcast『愛でいっぱいまるまるタッチ』配信中。
小森こどもクリニック 院長 小森 広嗣(こもり こうじ)
慶應義塾大学医学部卒。都立小児総合医療センター外科医長などを経て小森こどもクリニックを開院。
小児外科専門医として数多くのおなか(消化管)の手術や治療に携わり、「こどものお腹のスペシャリスト」として消化管の構造と機能に精通する。
自身や家族の不調が栄養療法で改善した手応えから、「西洋医学だけでは届かない不調」の解決策として「栄養」の重要性を確信。
「吸収の場である腸」と「体の材料となる栄養」の両面から、標準治療と分子栄養学を柔軟に組み合わせ、その子の体の土台を根本から整える「統合的な医療」を実践している。
日本小児外科学会認定専門医・指導医、医学博士。
