オキシトシン(幸せホルモン)は食べ物で増やせる?栄養とタッチケアの「両輪」

こんにちは、小森こどもクリニックのライフコーディネーター・栄養カウンセラーのちあきです。

毎日の子育てや家事、本当にお疲れ様です。夕方になるとどうしてもイライラしてしまったり、子どもに優しくなれない自分を責めてしまったりすること、ありませんか?私も昔はそうでした。

「もっと優しくしたいのに、できない私って母親失格なのかな……」
そんなふうに悩んでいるお母さんに、まず最初にお伝えしたいことがあります。
それ、あなたのせいではありません。「愛情」が足りないのではなく、単に「体の材料」が足りていないだけかもしれないんです。

私たちの心と体を満たしてくれる「幸せホルモン」をご存知でしょうか。その代表格が「オキシトシン」です。最近、「オキシトシンを増やすには、どんな食べ物を食べればいいですか?」というご質問をよくいただきます。

私たちの体は食べたものからできていますから、食事はとても大切です。でも、結論から言うと、オキシトシンは「この栄養素を摂れば直接増える」という単純なものではないんです。

今回は、オキシトシンをしっかり分泌させるための「体の土台づくり」と、一番大切な「人との関わり」についてお話ししたいと思います。

オキシトシンは「食べ物」で増やせるの?

オキシトシンは、特定の食べ物を食べたからといって、ダイレクトに分泌されるわけではありません。しかし、オキシトシンが分泌されやすい脳と体の「土台」を作るためには、日々の栄養が絶対に必要です。

お花を咲かせたいと思ったとき、根っこに栄養がなければ綺麗なお花は咲きませんよね。それと同じで、オキシトシンというお花を咲かせるためには、まず根っこである「体の土台」にしっかりと栄養を届けてあげる必要があります。

では、具体的にどのような栄養が土台づくりに役立つのでしょうか。

1. 「なぜかイライラする」を防ぐ、血糖値のコントロール

お腹が空きすぎて無性にイライラした経験はありませんか?
人の体は、低血糖状態になると「生きなきゃ!」という生存モード(本能)に入ってしまいます。すると、少し攻撃的になってしまったり、他人のことを信頼しにくくなったりするんです。

まずは、朝ごはんにタンパク質や良質な脂質をしっかり摂り、糖質に偏りすぎないようにして「血糖値を安定させる」ことが大切です。心が落ち着いて、人と優しく関わるための第一歩になります。

2. 「不安」や「だるさ」をはね返す、鉄分の力

お母さんたち女性は、毎月の生理などでどうしても鉄が不足しがちです。また、成長期である思春期のお子さんも、体を作るためにたくさんの鉄を必要とするため、不足しやすい状態にあります。

鉄が足りないと、疲労感で体がだるくなったり、「失敗したらどうしよう」「悪口を言われているんじゃないか」といった不安感が強くなったりします。そんな状態では、心に余裕がなくなり、相手に共感してあげることなんて到底できませんよね。

鉄分をしっかり補充してあげることで、ようやく人と温かく関わるための「心のゆとり」が生まれます。

3. タンパク質や腸内環境が「心」を作る

オキシトシンは「ペプチドホルモン」と呼ばれ、実はアミノ酸、つまりタンパク質から作られています。お魚、お肉、卵、大豆などをしっかり食べて、ホルモンを作るための「材料」を確保しましょう。

また、ストレスが続くと体がギュッと縮こまり、緊張状態になってオキシトシンが働きにくくなります。そこで神経の興奮を抑え、リラックス状態を作ってくれるのがマグネシウムです。

そして忘れてはいけないのが腸内環境です。脳と腸は密接に繋がっています。朝の忙しい時間、菓子パン一つで済ませてしまうのはとてももったいないこと。お味噌汁を一杯飲むだけでも違います。お味噌や納豆、ぬか漬けなどの発酵食品や食物繊維で腸を整えることが、幸せホルモンの神経回路に良い影響を与えてくれます。

魔法のスイッチは「あなたのアクション」の中にある

「よし、じゃあ今日からお肉と鉄分と納豆をたくさん食べよう!」と意識していただけたなら、土台づくりはバッチリです。

でも、一番お伝えしたい大切なことはここからです。
オキシトシンは、栄養だけでは増えません。

同じ幸せホルモンと呼ばれるセロトニンは、比較的栄養で増やしやすいのですが、オキシトシンだけは全く違います。いくら素晴らしいサプリメントを飲んで一人で部屋に閉じこもっていても、オキシトシンは出ないのです。

オキシトシンは本来、安心感や信頼感、スキンシップ(タッチケア)、そして「ありがとう」という感謝や「そうだよね」という共感など、人との温かな関係性によって分泌されるものだからです。

愛を土台に、家族の絆を深める

順番としてはこうです。

  1. まず食事や栄養で自律神経を整え、脳と体の土台を作る。
  2. その上で、人との温かな関わりを通してオキシトシンを放っていく。

一緒に食卓を囲んで笑い合ったり、子どもの話を「そうだよね」と聞いてあげたり、ありのままを認めてあげること。背中をさすったり、家族とハグをしたり、手と手を合わせて相手のぬくもりを感じること。こうした「生きた熱量を感じるアクション」が、オキシトシンには絶対に欠かせません。

ちなみに、ワンちゃんと触れ合うことでもオキシトシンは出ると言われています。(猫ちゃんはちょっとツンデレな子も多いので、研究データとしてはまだこれからのようですが、ペットとの触れ合いも大切ですね!)

昨今、世界情勢が不安定だったり、物価が高くなったりと、不安を感じやすい世の中です。AIも登場して、人と人との繋がりが薄く感じられることもあるかもしれません。
だからこそ、外の不安に目を向けるのではなく、目の前にいる家族、パートナー、子ども、友だちとの繋がりを大切にしてみませんか。

毎日のごはんで栄養の土台を作り、温かい手で相手に触れて、幸せを放っていく。この「ちりつも(塵も積もれば山となる)」の積み重ねが、家族の絆を深め、本当の幸せを生み出してくれます。

ぜひ今日から、毎日のごはんと、目の前の大切な人への温かいタッチを始めてみてくださいね。

この記事をお届けした人

ちあき(小森 千明)
小森こどもクリニック ライフコーディネーター / 栄養カウンセラー
元特別支援学校教員。オーソモレキュラー栄養医学研究所(ONE)認定カウンセラー。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。
「栄養という言語で哲学を届ける」をテーマに、毎日のごはんとタッチケアから、親子の心と体を整えるサポートを行っています。

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