💡 この記事の活用について
この記事は、2026年3月に日本小児科学会が公表した「ビタミンD中毒」の傷害速報を受けて、当院の栄養外来をご利用中の患者様にお届けする緊急のQ&Aです。
【必ずお読みください】
この情報は、医師の診察を受け、指導下にある患者様へのサポートとして提供しています。 お子様の体質や現在の治療状況によっては、適さない方法も含まれます。初めての方は自己判断せず、必ず医師の診察・指示を受けてから実践してください。📖 栄養外来がはじめての方は、まず 🔰スタートアップ・ガイド をご覧ください。
「ビタミンDのサプリで子どもが入院したニュースを見て不安になりました……」
最近、こうしたお声をLINEや診察の場でいただくことが増えています。
お気持ちはとてもよくわかります。大切なお子さんのことですから、心配になるのは当然のことです。
2026年3月、日本小児科学会が「サプリメントによるビタミンD中毒」の傷害速報を公表しました。7歳のお子さんが高カルシウム血症で25日間入院した事例です。
今日は、この報告について「何が起きたのか」「当院のサプリメントとは何が違うのか」を、Q&A形式でわかりやすくお伝えします。当院の合言葉は「測って、狙って、確認する」です。
Q1. ニュースを見て不安です。うちの子は大丈夫ですか?
結論から言います。当院の管理体制で処方されている限り、ご安心ください。
報告された事例と、当院の栄養療法には3つの決定的な違いがあります。
違い① 医師が管理しているかどうか
報告された事例では、販売会社のイベントで購入したサプリメントを、ご両親だけの判断で6か月間飲ませていました。その間、血液検査は一度も行われていません。
当院では、できる限り採血でビタミンDの血中濃度(25-OHビタミンD)とカルシウム(Ca)を確認することをお勧めし、定期的な再検査で安全を確認しています。どうしても採血が難しい場合は、専門家の指針に基づいた用量上限を守って処方することで、安全を担保しています。
違い② 子どもの体格に合った製品選び
事例のお子さんは体重14.7 kg(7歳)。そこに、1日あたり最大14,920 IUという大量のビタミンDが投与されていました。これは厚生労働省が定める7歳の耐容上限量(1,600 IU/日)の約9.3倍にあたります。
当院では、小学生以下にはADEKミセル(子ども用の低用量製品)を使い、大人用のD5000は原則として中学生以上からとし、体格や採血データに応じて小学校高学年で慎重に検討する形をとっています。同じ7歳のお子さんであれば、当院の処方量(約2,000 IU/日)は事例の7分の1〜15分の1です。
違い③ 製品の品質
事例で使われた製品は、分析の結果、同じボトルの中でもカプセルごとに含有量が最大2.1倍もばらついていたことがわかりました。「1粒に何が入っているかわからない」状態です。
当院で使用しているMSSの医療機関専用製品は、厳格な品質管理がされた製品です。
💡 院長メモ
この事例は「ビタミンDが危険」ではなく、「医療管理なしの使用が危険」ということを示しています。薬でも手術でも同じで、正しい管理のもとで使うことが安全の大前提です。お子さんは管理下にありますので、安心してください。
Q2. 市販のサプリと当院のサプリは何が違うの?
大きく3つの違いがあります。
入手方法
市販のサプリ:ドラッグストア・ネット
当院のサプリ:医療機関でのみ提供
品質管理
市販のサプリ:メーカーにより差が大きい
当院のサプリ:医療機関専用の厳格な管理体制
使い方
市販のサプリ:自己判断
当院のサプリ:医師が血液データに基づき処方
今回問題になった製品は、販売会社のイベントで購入されたもの。一般の方が自分で選んで買った製品です。当院のサプリメントとは、入手経路・品質管理・使い方のすべてが異なります。
Q3. 血液検査で何を見ているの?
当院の栄養外来では、サプリメントの安全管理のために2つの検査項目をセットで測定しています。
25-OHビタミンD — 体内のビタミンD充足度を直接示す数値です。目標ゾーン(50〜80 ng/mL)に入っているかを確認します
カルシウム(Ca) — 血液中のカルシウム濃度です。ビタミンDが過剰になると、カルシウムが異常に上昇します(正常値 8.5〜10.5 mg/dL)
ビタミンDの「過剰(中毒)」は、25(OH)Dの上昇と血清カルシウムの上昇をあわせて判断するのが専門家のコンセンサスです。この2つをセットで見ているからこそ、「大丈夫です」と自信を持って言えるのです。
今回の報告事例では、6か月間これらの検査が一度も行われていませんでした。「測っているか、測っていないか」——この違いが、安全と危険の分かれ目です。
Q4. 市販のビタミンDサプリを自分で追加してもいい?
お控えください。
当院では、お子さんの血液データに基づいて「この製品を、この量で」と処方しています。市販品を追加すると全体の摂取量がわからなくなり、次回の採血結果の判断にも影響します。
何か追加したい場合は、先にご相談ください。医師が判断します。
Q5. ビタミンDをやめた方がいいですか?
慈恵医大の調査などでも、日本の子どもの98%がビタミンD不足と報告されています。
ビタミンDが不足すると:
✔️ 免疫力が下がりやすくなる
✔️ アレルギーが出やすくなる
✔️ 腸の粘膜バリアが弱くなる
不安になるお気持ちはわかりますが、医療管理下で適切に補充しているビタミンDをやめるリスク(不足のリスク)の方がはるかに大きいと考えています。
ご心配な場合は、次回の診察で直接ご相談ください。血液検査の結果を一緒に確認しながら、お話しいたします。
💡 栄養カウンセラー ちあきからのひと言
同じ親として、このような報道を目にするとご不安になるお気持ちはとてもよくわかります。だからこそ、当院では医師の厳格な管理のもと、安全を第一に栄養療法を提供しています。ご心配なことがあれば、決して一人で抱え込まず、いつでもLINEや診察室でご相談ください。私たちがしっかりサポートいたします。
まとめ
✔️ 報告された事例は医師の管理なしに、品質の不安定な製品を、体格に合わない大量の用量で長期間投与された結果です
✔️ 当院では「測って、狙って、確認する」(血液検査→医師の処方→定期モニタリング)の3ステップで安全を管理しています
✔️ 不安な方は、いつでもご相談ください
📖 栄養療法の全体像や治療のロードマップを知りたい方は 🔰スタートアップ・ガイド もあわせてご覧ください。
📖 もっと詳しく知りたい方へ
サプリメントの安全性と「オプティマルレンジ」の考え方については、6月公開予定の記事(「サプリの安全性とオプティマルレンジの真実」)で詳しく解説する予定です。
栄養カウンセラー ちあきのXでは、栄養療法の日常を発信中
当院の栄養外来で実践している食事の工夫や、サプリメントとの付き合い方を、栄養カウンセラーのちあきが日々のリアルな食卓とともにXで発信しています。3児の母としての等身大の実践をお届けしています。ぜひフォローして、毎日のヒントにしてください。
👉 ちあき|こどもの栄養カウンセラー×3児の母🌱 @LifeCrescendoC
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この記事の執筆・監修
栄養カウンセラー ちあき
小森こどもクリニック 栄養カウンセラー/3児の母。
元・特別支援学校教諭。弘前大学教育学部卒業後、障害児教育の現場を経て、夫・小森広嗣の小児外科医としての活動を支えながらクリニック運営に携わる。
自身の子育ての中で、発達疑いのあるお子さんを栄養療法でサポートしてきた実体験を持つ。「頭でわかっていても、毎日の食事はしんどい」というお母さんたちの本音を誰より知る一人として、生活に根ざした「続けられる栄養の整え方」を伝えることを大切にしている。
オーソモレキュラー・ニュートリション・エキスパート(ONE)、ベビーマッサージ・タッチケアセラピスト、7つの習慣®認定ファシリテーター。Podcast『愛でいっぱいまるまるタッチ』配信中。
小森こどもクリニック 院長 小森 広嗣(こもり こうじ)
慶應義塾大学医学部卒。都立小児総合医療センター外科医長などを経て小森こどもクリニックを開院。
小児外科専門医として数多くのおなか(消化管)の手術や治療に携わり、「こどものお腹のスペシャリスト」として消化管の構造と機能に精通する。
自身や家族の不調が栄養療法で改善した手応えから、「西洋医学だけでは届かない不調」の解決策として「栄養」の重要性を確信。
「吸収の場である腸」と「体の材料となる栄養」の両面から、標準治療と分子栄養学を柔軟に組み合わせ、その子の体の土台を根本から整える「統合的な医療」を実践している。
日本小児外科学会認定専門医・指導医、医学博士。
