20〜40代女性の65%が「隠れ貧血」?妊娠1年前から知っておきたい栄養の話

5月に入り、風に乗って元気に泳ぐ鯉のぼりや、立派な五月人形を見かける季節になりました。「どうかこの子が、健康で元気に育ちますように」。それは、いつの時代も変わらない親の切なる願いです。

 

子どもが生まれてからは、離乳食に気を配り、少しでも体に良いものをと一生懸命になるお母さんは多いと思います。また、妊娠が分かった途端に「葉酸や鉄分を摂らなきゃ!」と意識し始める方もたくさんいらっしゃいますよね。それだけでも、本当に素晴らしいお母さんの愛情です。

 

でも、もし「子どもの健康の土台は、生まれるずっと前、もっと言えば『妊娠する前』から作られている」としたらどうでしょうか。

 

今回は、子どもの一生の健康を左右する「妊娠前からの栄養づくり」と、多くの女性が陥っている「隠れ貧血」の罠についてお話しします。

 

妊娠の「1年前」から栄養の土台が必要な理由

 

「妊娠に気をつけて栄養を摂るなら、いつからがいいですか?」と聞かれたら、栄養学的な答えは「実は、妊娠する1年前からです」となります。

 

「えっ、1年前から!?いつ妊娠するかなんて分からないのに!」と驚かれますよね。私も最初知った時は同じように思いました。

 

妊娠すると、お腹の中ではものすごいスピードで細胞分裂が始まります。この「命の基礎」が作られる一番最初の重要な時期に、お母さんの体に十分な栄養が満たされていることが理想なのです。妊娠に気づいてから慌てて栄養を補給しようとしても、初期の最も重要なステップには間に合わないことが多いのが現実です。

 

だからこそ、いつ妊娠してもいいように、日頃から栄養の土台を作っておく必要があります。

 

20〜40代女性の65%が陥る「鉄欠乏(隠れ貧血)」の罠

 

では、今の日本人女性の栄養状態はどうでしょうか。実は、とても深刻な状況にあります。
特に問題なのが、体の中の鉄分が足りていない「鉄欠乏」です。最近では分かりやすく「隠れ貧血」と呼ばれることもあります。

 

厚生労働省の調査データでも、20代から40代の女性の、なんと約65%がこの鉄欠乏(隠れ貧血)状態にあると言われています。

 

「健康診断の血液検査で『貧血ではありません』と言われたから大丈夫」と安心はできません。ここが落とし穴なのです。
医学的に言う「貧血」とは、血液中のヘモグロビンが減った状態のこと。しかし、ヘモグロビンは正常でも、体の中の「貯蔵鉄(フェリチン)」という鉄の貯金箱が空っぽになっている状態、それが「鉄欠乏(隠れ貧血)」です。

 

厄介なのは、若い女性は「若さ」というエネルギーでこの鉄不足を乗り切れてしまうため、フラフラするなどの分かりやすい貧血の症状が出にくいことです。

 

栄養不足がもたらす、赤ちゃんへの影響

 

いざ妊娠を迎えた時、この「貯蔵鉄」がないと、赤ちゃんに十分な酸素や栄養を運ぶことができません。自分では元気なつもりでも、お腹の赤ちゃんは酸欠・栄養失調状態になってしまう危険性があるのです。

 

お腹の中での栄養不足は、身体だけでなく脳の発達にも影響を与えます。自閉症やADHDといった発達障害のリスクが、通常の約2倍に引き上げられるというデータもあるほど、妊娠前からの栄養状態は深く関わっているのです。

 

今日からできる「自分の体を知る」ワンアクション

 

「そんなに栄養が足りていないなら、明日から鉄分のサプリメントをたくさん飲まなきゃ!」と焦る必要はありません。むやみにサプリメントで補強しようとするのは、自分の状態に合っていない場合、逆に体調を崩す原因にもなり怖い部分もあります。

 

まず最初の一歩は、「自分の体の本当の状態を知る」ことです。

 

血液検査をして、「私のフェリチン(貯蔵鉄)の値はどうなっているかな?」と、お近くの病院で相談してみるのも良いでしょう。今の自分に何が足りていないのかを知ることが、最も確実なスタートラインです。

 

「もっと早く知りたかった…」と落ち込む必要はありません。気づいた「今」が一番のスタートの時です。

 

結婚や妊娠といったライフイベントに関わらず、自分の体を整えておくことは、人生100年時代を「ピンピンコロリ」で元気に生き抜くための、あなた自身への最高のプレゼントになります。

 

焦らず、毎日のごはんから少しずつ。できることからの「ちりつも」で、未来の家族と自分のための体づくりを始めていきましょう。

 

【次回予告】
では、栄養不足のまま妊娠すると、お腹の赤ちゃんはどうなってしまうのでしょうか?
実は、赤ちゃんは生きるために自ら「省エネ体質」になって生まれてくるのです。それが将来の肥満や糖尿病にどう繋がるのか。

 

次回の記事では、世界が注目する「DOHaD(ドーハッド)理論」と、今日からできる食事の工夫「栄養のグーチョキパー」についてお話しします。

 

👉 続きはこちら:妊娠前からの栄養が鍵!子どもの「太りやすい体質」と食事の深い関係

 

この記事をお届けした人

 

ちあき(小森 千明)
小森こどもクリニック ライフコーディネーター / 栄養カウンセラー
元特別支援学校教員。オーソモレキュラー栄養医学研究所(ONE)認定カウンセラー。『7つの習慣®』実践会認定ファシリテーター。3児の母。
「栄養という言語で哲学を届ける」をテーマに、毎日のごはんとタッチケアから、親子の心と体を整えるサポートを行っています。

 

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