🧠 「DHAで頭が良くなる」は本当?
小森こどもクリニック栄養外来の診察室で、よく「DHAサプリは本当に必要ですか?」と聞かれます。 結論から言うと、「脳の成長期である子どもには、必須レベルでおすすめ」です。
医学的には「頭が良くなる」というより、「脳の神経細胞(ニューロン)の情報伝達速度が上がる=脳の回転がスムーズになる」という表現が正確です。
🧠 なぜ「落ち着き」に関係するの?(脳の60%は油)
子どもの脳は、水分を除くと約60%が「油(脂質)」でできています。 その脂質の中でも、脳が最も必要としており、実際に多く含まれているのがDHAです(脳内のオメガ3系脂肪酸のほとんどがDHAです)。
脳の神経細胞を「電気コード」に例えると、DHAはそのコードを包む「しなやかなカバー」の役割をしています。
- DHAが不足すると…
- カバーが固くゴワゴワになり、電気信号(情報)がスムーズに流れません。
- 情報が渋滞を起こし、脳がオーバーヒート気味に。結果として「イライラする」「キレやすい」「集中力が続かない」という状態になりやすくなります。
- DHAが満たされると…
- 細胞膜が柔らかく柔軟になり、信号がスイスイ流れます。
- 「先生の話を聞く」「黒板の文字をノートに写す」といった複数の処理がスムーズになり、結果として「心と体」が落ち着いて行動できるようになります。
💡 なぜ「サプリメント」で摂る必要があるの?
多くのご家庭で「お魚を食べさせなきゃ」と頑張っていらっしゃいますが、実は食事だけで十分なDHAを脳に届けるのは非常に難しいという現実があります。 これには、医学的な「3つの理由」があります。
1. EPAからDHAへの変換率は非常に低い(10%以下)
「えごま油や亜麻仁油(αリノレン酸)を摂っていれば、体内でDHAに変わるから大丈夫」と思っていませんか? 実は、人間の場合、植物性の油からDHAへの変換率は非常に低く、わずか10%程度と言われています。 つまり、脳に必要なDHAを確保するためには、変換を待つのではなく、「DHAそのもの」を直接摂取する必要があるのです。
2. 脳はDHAを選んで取り込んでいる(SN2結合型)
ここが一番重要なポイントです。 脳には「血液脳関門(ブラッド・ブレイン・バリア)」という厳しい関所があり、変なものが入らないように守られています。 この関所を通過できるのは、「特定の形(SN2結合型)をしたDHA」だけなんです。
- 普通の魚油サプリ:関所を通りにくい形のものも混ざっている。
- 当院推奨のDHA:酵素処理によって、脳が「これは必要なものだ!」と認識して取り込みやすい形(SN2結合型)に整えられています。
3. 効果は「量」に比例して青天井に高まる(容量依存性)
「たくさん飲ませて、副作用は大丈夫なの?」 「過剰摂取にはならないの?」 そんな不安をお持ちのお母さんも多いかもしれません。でも、ご安心ください。
医学的エビデンスに基づき、以下の3つの事実をお伝えします。
① 明確な「上限」はありません(青天井) 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」でも、DHAを含むn-3系脂肪酸の耐容上限量は設定されていません。 これは、通常の食事やサプリメントの範囲であれば、過剰摂取による健康被害のリスクが極めて低いことを意味しています。
② 入れれば入れるほど、脳はしなやかになる DHA摂取において、効果の限界(リミット)はないと考えられています。 つまり、一定量で効果が止まるのではなく、「摂取量を増やせば増やすほど、赤血球や脳の細胞膜のDHA濃度は上昇し続ける」のです。 量を増やせば増やすほど、より効果が高まることが期待できます。
③ 脳への「貯金」をしよう DHA摂取は、消費して終わるものではなく、「脳への貯金」です。 たくさん摂れば摂るほど、細胞膜はより柔軟になり、情報の伝達スピードも上がっていきます。 今の子供たちの脳は、常に情報過多でオーバーヒート気味。いわば慢性的な「DHA欠乏(ガス欠)」状態です。 だからこそ、「多すぎるかな?」と心配するよりも、「今のうちにたっぷりと脳に貯金を作ってあげよう」という気持ちで、自信を持って飲ませてあげてください。
まずは3ヶ月。 「あれ?最近、癇癪(かんしゃく)が減ったかも?」 「宿題に取り掛かるのが早くなった?」 そんな、お子さんの「本来の力」が発揮される変化を感じられるはずです。
👨⚕️ ドクターからのメッセージ 「落ち着きがないのは、しつけのせい?」と自分を責めないでください。 それは性格ではなく、単なる「栄養欠損(ガス欠)」かもしれません。 脳の油を「良い油」に入れ替えるだけで、お子さんの表情は驚くほど穏やかになりますよ。
