こんにちは、栄養カウンセラーのちあきです。
2月に入り、寒さも本格的になってきましたね。 受験生のいるご家庭では、いよいよ本番を迎え、緊張感のある毎日を過ごされていることと思います。
「風邪を引かせちゃいけない」 「当日に実力を発揮できるように」
そんな親御さんの切実な思い、痛いほどわかります。 温かいお茶を入れたり、夜食を作ったり……言葉にはしなくても、精一杯のサポートをされているのではないでしょうか。
今回は、そんな受験シーズンに知っておきたい「脳と心を守る栄養」について、ポッドキャストでお話しした内容を、もう少し詳しくシェアしますね。
「やる気」も「安心」も、材料は〇〇でした
受験対策の食事というと、「消化にいいおうどん」や、験担ぎの「カツ丼」などが思い浮かぶかもしれません。 あるいは、脳のために「甘いもの(ブドウ糖)」を意識されている方も多いですよね。
でも、小森こどもクリニックの栄養外来でもベースにしている「分子栄養学」の視点で見ると、実は「脳の働きも、心の安定も、すべて『タンパク質』が土台になっている」んです。
勉強に必要な「やる気」を出すホルモン(ドーパミン)。 そして、試験前の不安や焦りを鎮め、心を安定させてくれる「幸せホルモン(セロトニン)」。
これらを作る「材料」こそが、実はタンパク質なんです。
さらに、受験期のような強いストレスがかかる時期や、風邪などのウイルスと戦うための「抗体(武器)」を作るのにも、タンパク質は大量に消費されます。
つまり、お肉やお魚、卵などのタンパク質が足りていないと、 「なんだかやる気が出ない……」 「すぐにイライラしちゃう……」 「集中力が続かない……」 なんてことになりかねない、ということなんですね。
脳のコンディションを整え、メンタルを支え、さらに免疫力も高める。 タンパク質は、まさに受験生にとって「最強のお守り」なんです。
目指したいのは「体重 × 1.5〜2g」……ですが!
では、具体的にどれくらい摂ればいいのでしょうか?
一般的な栄養学では「体重1kgあたり1g」と言われますが、成長期であり、かつ受験という大きなストレスと戦っている今の時期、分子栄養学的な視点での理想は「体重1kgあたり 1.5g〜2g」です。
例えば、体重50kgのお子さんなら、
- 50kg × 1.5g = 75g
- 50kg × 2.0g = 100g
これくらいのタンパク質量が、脳と体をフル回転させるための理想量です。
⚠️ いきなり増やしすぎないで!
ただし、ここでとっても大切な注意点があります。 これまでタンパク質が少なめだったお子さんが、いきなりお肉をたくさん食べ始めると、胃腸がびっくりして消化不良を起こしてしまうことがあるんです。
「お腹が張る」「おならが臭くなる」 これらは、タンパク質を消化する力がまだ追いついていないサイン。
なので、まずは「体重 × 1.0g〜1.2g」を確実に摂ることからスタートして、お腹の調子を見ながら、少しずつ理想の量(1.5g〜)に近づけていくのが、失敗しないコツです。
まずは「お肉の重さ ≠ タンパク質の量」を知ろう
「えっ、お肉を100g食べればいいの?」と思われるかもしれませんが、ここが少しややこしいところ。 「お肉の重さ ≠ タンパク質の量」なんです。
実は、理想とされるタンパク質(80g〜90g)を、もし1つの食材だけで摂ろうとすると、これくらいの量が必要になります。
- 肉や魚なら……約400g(ステーキ2〜3枚分!)
- 木綿豆腐なら……約4丁(1丁300gとして)
- 卵なら……なんと約13個!
「ええーっ、そんなに食べられない!」って思いますよね(笑)。 そうなんです。だからこそ、1つの食材で頑張るのではなく、いろんな食材を組み合わせて、毎食コツコツ積み重ねるのが大切なんです。
合言葉は「毎食、手のひら1枚分」+「ちょい足し」
そこで役立つのが、「手のひら1枚分」という目安です。
実はお肉やお魚100gに含まれるタンパク質は、だいたい20gちょっと。
- ステーキ肉(100g):約22.9g
- 焼きサバ(100g):約21.4g
- ゆで卵(100g・約2個):約13.7g
これがお子さんの「片手の手のひら(指を含まない部分)」の大きさとだいたい同じです。 厚みも「手のひらの厚さ」くらいを目安にしてください。

一般的な目安として、
- 指を含まない手のひらサイズ = 約80g〜100g
- 指を含めた手のひら全体サイズ = 約120g〜150g
くらいと言われています。 ですので、今回の「1食20gのタンパク質」を摂るには、「指を含まない手のひらサイズ(約100g)」を目指して食べると、ちょうどいい計算になります。
※指のあたりまで少しくらいはみ出しても大丈夫!厳密になりすぎず、「だいたいこれくらい」のアバウトな感覚でOKです。
このサイズ(約80〜100g)のお肉やお魚で、約20gのタンパク質が摂れる計算になります。
小学校高学年から高校生くらいの受験生なら、体もしっかりしてくる時期。 体が大きくなれば手も大きくなり、必要な栄養量も増えます。だからこそ、「自分の手のひらサイズ」が、今のその子にぴったりの目安になるんです。
これを朝・昼・晩の3食しっかり食べると、
- 20g × 3食 = 60g
これだけで、最低ラインの基礎はしっかり作れます。 まずはここをクリアすることが第一歩!
そして、理想の75g〜100gに近づけるために、「補食(おやつ)」や「ちょい足し」を活用しましょう。
具体的な「ちょい足し」タンパク質量の目安
あと少しを補うための、身近な食材のタンパク質量(目安)です。
- ゆで卵(1個):約6.5g
- 納豆(1パック):約7g
- 豆腐(小パック150g):約10g
- プロセスチーズ(1個):約3〜4g
- 豆乳(200ml):約7g
- ツナ缶(1缶):約10〜15g
例えば、
- 朝ごはんに納豆をプラス(+7g)
- おやつにゆで卵とチーズ(+10g)
- 夜食にお豆腐のお味噌汁(+5g)
こうやって「ちょい足し」していくと、無理なく理想の量に近づいていきます。
「食」は一番の応援歌
緊張で食欲がなかったり、塾で忙しくてゆっくり食事がとれないこともあると思います。 そんな時は、無理に一度に食べさせようとしなくて大丈夫。「ちりつも(塵も積もれば山となる)」作戦でいきましょう。
「勉強しなさい!」「大丈夫?」と声をかける代わりに、そっと具沢山の卵焼きを出してみる。 夜食に、温かい豆乳スープを用意してみる。
そんな言葉にならない「食の応援」が、頑張るお子さんの心と体を、内側からじわじわと温めてくれるはずです。
春はもうすぐそこ。 おいしいタンパク質で、心と体の土台をしっかり整えて、笑顔で春を迎えられますように。
